ビルマ経済 勉強会に参加しました2010/10/01 11:56

こんにちは。10月に入り、一気に秋らしくなってきましたね。

9月30日、ビルマ市民フォーラムと、 ビルマ情報ネットワーク共催のビルマ経済についてのブリーフィング「どうなってるの?ビルマ経済 ーミャンマー軍政が演出する「貧しさ」の真相ー」に参加してきました。

スピーカーは、マッコーリー大学経済学部准教授のショーン・タ―ネル氏。 ターネル教授は、ビルマ経済専門家で、このブリーフィング当日の朝、アメリカから成田に到着したばかり。アメリカでは、ビルマについてキャンベル国務次官補ともミーティングをしてきたそうです。

ビルマは、半世紀前は経済的にとても豊かだったのに、今日の東南アジアで最も貧しい国(国民1人あたりGDPがわずか450USD)になってしまいました。ターネル教授は、「この急激な変化は、軍事政権の経済政策の失敗が理由である - Burma is poor by the choice of the regime.」と断言されていました。

最近は、建設中のビルマ-中国天然ガスパイプライン(2013年に供給開始予定)がニュースでも取り上げられていますが、過去5年間で、天然ガス輸出による外貨収入が急激に増加(年間30億ドル)し、ビルマ経済は財政黒字だそうです。しかし、ビルマ軍政は、為替の実勢レート(1ドル=1000チャット)とは約200倍の差がある1ドル=6チャットの公式レートを使用し、財政赤字であるように発表しています。

驚いたのは、ビルマ軍政による支出の内訳です。ビルマの防衛支出は、教育と保健・医療支出の合計の2倍近くもあるとのこと。防衛費が教育・保健医療費を上回っているのは、東南アジアでビルマだけだそうです。

20年以上ぶりとなるビルマ総選挙まで、あと1ヶ月。ターネル教授は、総選挙後、アメリカの金融制裁が強化されるだろうと予想されていました。ビルマの経済政策が、軍事政権関係者だけでなく、国民ひとりひとりに真の豊かさをもたらす日が一日でも早く訪れることを願って止みません。

国際人道法教育フォーラム2010で講演しました!2010/10/04 09:52

10月2日(土)に日本赤十字秋田看護大学にて行われた、国際人道法教育フォーラム2010に参加いたしました。
今年のテーマは、「21世紀の人権と人道」
グローバル世界における人間の脅威を「人権」と「人道」という視点から捉え、人間尊重の文明を未来へ引き継ぐために何が必要かを考える、というものでした。

第一部は座長を井上忠男氏(日本赤十字秋田看護大学教授)に務めていただいて、フォーラム、報告が行われました。

プログラムは、藤田久一氏(関西大学名誉教授)による人権と人道の現在と法的概念」 、長嶺義宣氏(赤十字国際委員会中日事務所)による「赤十字と人間の保護・救済活動」でした。私(土井)は、「世界の人権問題の現実」という演題で講演させて頂きました。 

(上写真:講演中の私)
第2部 討論の部では、「人権と人道の実現を阻害するものは何か」「人権と人道はいかに協働しあえるか」「人権尊重の文明と私たちに求められるもの」という題目で討論をいたしました。

人権、人道から未来を考えていく、とても有意義な3時間となりました。

ニュースの深層―進むか 取調べの全面可視化・打合せ編―2010/10/05 16:02

こんにちは、インターンの湯村です。

今日、今週水曜(10月6日)放送のニュースの深層の打合せに同行してきました。

今回は、「進むか 取調べの全面可視化①」と題しまして、ゲストに民主党参議院議員の今野東先生をお迎えします!
打合せの様子 右から 今野先生、香苗さん、大塚ディレクター

民主党マニフェストから可視化が消えた!?
検察庁の実態!
可視化に向けた政治の動きは??
村木厚子さんの事件の検証はどうなる??

村木厚子さんをめぐる事件をきっかけに、検察等による取調べの可視化に対する注目が集まっている今、「取調べの可視化を実現する議員連盟」の今野先生と熱く議論します!!

「ニュースの深層」10月6日 夜8:00~8:55 朝日ニュースター
皆さま、是非ご覧ください。

また、今野先生は、難民問題に積極的に取り組まれている先生でもあります!
難民チャリティー寄席を今年も行います。
仙台公演 11月20日(土)午後7時開演 仙台市民会館小ホール
東京公演 12月16日(木)17日(金)午後7時公演 紀尾井小ホール
詳しくは、今野先生のホームページをご覧ください。







ノーベル平和賞授賞候補ー劉暁波ー2010/10/06 13:53

突然ですが、みなさま劉暁波氏をご存知でしょうか?
劉暁波(Liu xiaobo)© CHRD

ノーベル賞シーズンとなり、日本人が化学賞を受賞するなど、日本でも盛り上がっていますね!
さて、ノーベル賞の中でも、昨年オバマ大統領が授賞した「平和賞」に今年ノミネートされている中国の人権活動家が、劉暁波(Liu xiaobo)氏です。ここ1ヶ月間ほど、ちらりちらりとニュースにも登場しているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
そこで、二日間に分けて劉暁波氏にスポットライトを当てたいと思います。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員が発表した記事によると、劉暁波氏は、2008年12月8日に中国国内で拘束され、2009年12月25日のクリスマスに収監されました。

彼は、一体何をしたのでしょうか?
なんと、彼は、「08憲章」という中国の民主化を要求する文書発表の先頭に立ったということだけで、逮捕・監禁・実刑(懲役11年)を受けることになったのです。

まず、中国の表現の自由についての現状について。
経済成長著しい中国ですが、表現の自由、司法の独立などは、驚くほど確保されていません。特に、表現の自由についての規制は厳しく、現在、中国では46名以上の作家や記者が「表現」したことにより、服役しています。また、刑務所に入っていなくても、中国政府から監視を受けている人は大勢います。監視下に置かれた人は、海外はもちろん国内の旅行も許されなかったり、著作活動を禁じられる、電話、メールは盗聴されるなどの大変厳しい監視を受けます。
また、これら言論の自由に対する統制の対象は、漢民族だけでなく、ウイグルやチベットの人も含まれ、実際に言論内容のみで死刑を受けた人もいます。
さらに、最近はインターネットも普及していますが、それに対しては、「インターネット警察」というインターネット専門の調査を行い政府への非難や民主化を規制する警察が存在します。その数なんと、35万とも言われます!!
そして、インターネット上で1-2作品発表しただけで、投獄された人も。

そんな中で、劉暁波氏が303名の知識人たちとともに実名で発表した「08憲章」とは自由」「人権」「平等」「共和」「民主」「憲政」を基本理念に掲げ、三権分立、表現の自由、結社の自由などの19の主張を盛り込んだものです。

ここで、劉暁波氏についてご紹介したいと思います。
彼は、1955年に長春に生まれ、1988年に北京師範大学校で文学博士の学位を取得しました。これは、中国国内では、最も早い時期の文学博士だそうです。この時期の彼は、「黒い馬(ダークホース)」と呼ばれていました。
そんな彼の転機は、天安門事件。

アメリカ留学中だった彼は、事件直前に帰国し、学生たちと共に運動に参加しますが、軍隊出動が始まると学生を出来るだけ撤退させようとしました。運動鎮圧後、彼は、天安門事件扇動者として逮捕されます。運動後の彼は、知識人としての責任を積極的に負おうとしているのが著作から読み取れます。また、個人的な英雄主義を捨てて行きます。今までは、美学哲学などの論文が主でしたが、中国政府の批判、中国知識界への提言を行うようになります。

そして、2008年、劉暁波は「08憲章」を発表したのです。

次回は、08憲章発表後の中国国内の劉暁波氏をめぐる動き、ノーベル平和賞に関する動きについて書きたいと思います。

※彼の著作の中で、日本語訳で出版されているものは「天安門事件から「08憲  章」へー中国民主化のための闘いと希望」(藤原書店)、「現代中国知識人批
 判」(徳間書店)があります。








「国際NGOで働くということ」講演会レポート2010/10/07 03:26


みなさん、こんにちは。


インターンの櫻井直輝です。


昨日東京大学で行われた


グローバル・リーダーシップ寄付講座


「国際NGOで働くということ」




ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表、土井香苗氏と東京大学法学部教授、北岡教授のトークセッションに出席いたしました。


北岡先生の知識の広さ、会場の方々からの鋭い質問に驚きながらも2時間の間すばらしい世界を感じられました。




どんな質問かというと、


・HRWはどのような基準を用いて調査する順序を決めているのか

・他のNGO/NPOとの連携について

・なんでHRWに就職先を決めたのか

・世論形成のためにどのような活動をしているのか

・世界的NGOの中で日本の役割


などなど、多くの質問をいただきました。




私自身、世界で起こっていることにたいして、どれほど自分が無知なのかと感じながら聞いておりました。インターンをして、3ヶ月になりますが、未だにわからないことばかり、毎日毎日が勉強の日々です。


ノーベル平和賞候補者ー劉暁波氏ー第2部2010/10/07 15:06

ヒューマン・ウォッチが毎年発表している人権賞の受賞者にも選ばれている劉暁波(Liu xiaobo)氏。前回に引き続き、彼についてお話したいと思います。
劉暁波(Liu xiaobo)© CHRD
08憲章(中国の民主化を求めた文書)発表後、逮捕された彼は、11年の懲役を言い渡されました。現在は、妻の劉霞さんとの面会は月に一度たったの1時間しか許されません。政治問題社会問題の話をすることが許されないだけではなく、面会の模様も二人の監視員によってビデオで録画されるそうです(朝日新聞より)。

さて、劉氏逮捕後の中国国内の08憲章をめぐる動きですが、9月25日に中文ペンクラブとアムネスティインターナショナルの主催で行われた「劉暁波は何をしたのか」というシンポジウムに登壇された、中国の作家の話によると、現在では1万人もの人が憲章に署名しているそうです。

そして、この活動のことを、参加者たちは「お茶を飲む」と言って表現しているとか。
みなさん、どういう意味か分かりますか?

私も、最初は「?」が浮かびました。これは警察の事情聴取を受けることを言うそうです!さらに驚くことに、この「お茶を飲む(tea drink)」には17歳の高校生も参加したとか、、、。そして、自分が「お茶を飲」んでから4日のうちに3人を誘うそうです。最近では、自分がお茶に呼ばれた経験をインターネット上で発表する人もいるそう!
「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態だとか、、、。

この様に、「お茶を飲む」と表現することで、事情聴取を受けることの恐怖心が減り、次々にこの運動に参加する人が増えているそうです。特に、今まで中国国内の人権問題にあまり興味を示してこなかった中国の若者が、劉氏逮捕後から「表現の自由」に対する意識を高め、積極的に劉氏解放を求める集会や署名に参加しているそうです。

そんな中国の知識人の中で指導的立場である彼が、ノーベル平和賞にノミネートされましたが、これについて、中国政府はノルウェー政府に対して、「もし授与したらノルウェー政府と中国政府の関係は悪化する」という圧力をかけています。

表現の自由が憲法上保障されている私たちにとって、表現の自由が侵されるということはあまりピンと来ないかもしれません。このピンと来ないほど、当たり前で重要な自由を求めて闘っている劉氏は、「ノーベル平和賞」という名前にぴったりだと思います。この「ノーベル平和賞」の趣旨に反して、政治と政治の駆け引きによって賞の受賞者が変更されることはあってはならないことだと感じます。

収監中に、平和賞を受賞したのは、ビルマのアウン・サン・スーチー氏のみ。劉暁波氏の授賞は難しいだろうという見解もあります。ただ、賞の授賞に関わらず、中国国内の表現の自由の確保、劉氏の釈放の契機になってほしいと思います。

ヒューマン・ライツ・ウォッチも劉氏関連のニュースリリースを多く出しております。
どうぞ、こちらもご覧下さい!!


Tokyo FM:ノエビア Color of Happiness に出演!2010/10/08 05:19

みなさま、こんにちは。

突然ですが、10月8日(金) 朝9時5分  放送予定 
Tokyo FM 「Blue Ocean」の「ノエビア Color of Happiness」というコーナーに私(土井)が出演させて頂くことになりました。

独自の‘Color’を持った女性の、知られざる価値観、趣味、ココロの裏側までをインタビュー。底から見える、‘Happiness’を紐解いていく、というコンセプトで、パーソナリティーは望月理恵さん。
(写真 左:望月さん 右:私(土井))

前半は、名前から始まり、悩み、幸せだと感じるとき、理想の女性などなど10の質問に一問一答形式で答え、番組の後半は、ヒューマン・ライツ・ウォッチについて、人権についてお話します。

私オススメの曲も放送されます!

10月8日、東京にお住まいの方は、Tokyo FM 80.0MHz(青梅など一部の方は83.6MHz)に合わせてお聴き逃しのないようにしてくださいね!!


※東京にお住まいでない方も、Music Birdに加入されている方は聞いて頂けるようです。
 また、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都4県にお住まいの方はパソコン(詳しく 
 はこちら)でもお聴きいただける模様です。
番組ホームページ:tfm.co.jp/bo


ヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員の記事が世界的に有名な雑誌に掲載!!2010/10/08 10:02

みなさん、こんにちは。
先日から、中国の人権活動家であり、作家である劉暁波氏についてお話していますが、
私たちヒューマン・ライツ・ウォッチの中国担当調査員ニコラス(Nicholas Bequelin)の記事が、劉氏ノーベル平和賞ノミネートに関連して、「Foreign Policy」という雑誌に掲載されています!!
 
記事はこちら(原文は英語)です。

Foreign Policyは、1970年に創刊された、政治・経済を中心に世界の動向を捉え、その根幹を成す文化や国家の発展に言及してきた評論誌です。“各国の主導的立場にあるジャーナリスト・思想家らが寄稿し、現代社会の風潮、政策等を鋭い視点から分析する”というコンセプトで、2003年には米国ナショナル・マガジン・アワードを受賞したとても有名な雑誌です!!


劉暁波氏の発表した「08憲章」の背景から、2009年にヒラリー・クリントンが中国を訪れたときのことまで、とても充実した記事になっています。
ニコラスの記事によりますと、劉氏は「自由への一歩は、しばしば投獄されることである。私は今、その道のりにある。つまり、真の自由は、とても近くにある。」と記したそうです。

ノーベル平和賞は、今日(8日)発表!!

また、ニコラスは、日本を年内に訪れてくれる予定になっております。
来日模様もまたブログでお知らせしますね!

元国連特別報告者の横田洋三氏がEUへ書簡提出!2010/10/08 11:50

みなさま、こんにちは。インターンの小田です。

ヒューマン・ライツ・ウォッチでは、ビルマをはじめとした国連事実調査団(CoI)設立に向けた運動を行っています。
 詳しくはこちら
さて、さる10月5日に、元国連の特別報告者である横田洋三氏が同じく特別報告だったPaulo Sergio Pinheiro氏と共に、EUに対して、ビルマの国連事実調査団(Commission of Inquiry)設立を支持するよう要請書を提出されました。

特別報告者とは、国連人権理事会によって選ばれた専門家が、任期の間、特定の国や分野に対する調査を行う人です。

こちらで、原文の横田さんPauloさんの共同書簡をお読みいただけます!
興味のある方は、是非お読みください。



検事による証拠改ざん事件をうけて:「ニュースの深層」2010/10/11 12:33

皆様、こんにちは。インターンの小田です。

9月22日の“ニュースの深層”のテーマは、「現代司法:冤罪は晴れるのか?」でした。

冤罪については、つい最近判決が出た厚生労働省の村木局長逮捕事件についても論議を呼んでいますが、裁判員制度が導入された今、より防ぐ方法を考えていかなくてはいけない問題だと感じます。

さて、放送に向けて、ゲストの今村核先生(弁護士)との打ち合わせに同行させていただきました。その模様をレポートさせていただきます!
有名な冤罪事件となっている足利事件、名張毒ぶどう酒事件、布川事件のお話から、
先生が実際に弁護された事件のお話などを伺いました。

今村先生は「冤罪弁護士」(旬報社)の著者でもあります。
読んでみると、本当に身近なところで「冤罪」に泣いてる方々がいらっしゃること、そして冤罪の生まれる構図をなくしていかなくてはいけないという切実感を感じました。こちらも、手に取ってみてください。
さて、打ち合わせの内容に戻りますが、ひとくちに冤罪といっても、犯人の識別型(写真を見て「この人が犯人です」という面割り)、自白の強要型などいろいろな誤判原因があるそうです。

 打ち合わせ自体が、テレビ番組を見ているようで、写真を撮り忘れてしまうほど、面白いお話を聞かせていただきました。放送前から、どんなお話が聞けるのかとても楽しみです。
 
皆様、本日9月22日(水)のニュースの深層、ご覧になった方の感想をお待ちしております!!