「誰も助けてはくれない」 ウガンダの女性障がい者たちの声2010/10/13 09:47

今年8月にヒューマン・ライツ・ウォッチの「ウガンダ:女性の障がい者 壁と人権侵害に阻まれて」の記事でお伝えしたとおり、ウガンダ北部では障害を持つ女性たちが差別や性暴力に直面し、苦しんでいます。

 

紛争後の復興事業の影で、ポリオなどの病気や、20年以上にわたった紛争ゆえに地雷などが原因で障がいをもって生きることになった多くの女性たちが、ひどい差別を受けながらも、忘れられた存在となっているのです。

 

 ヒューマン・ライツ・ウォッチのウェブサイトに、「No One Knows Us」という特集が組まれています。今日はその特集の内容をご紹介しながら、ウガンダで差別に苦しむ障がいを持った女性たちにスポットを当てていきたいと思います。

 

 

北ウガンダの小さな村に住むフィルダさんは、紛争で、夫と息子、そして左足を失いました。片足だけで、5人の子どもの面倒を見ながら、畑仕事をしても家族を支えることができないフィルダさん。「私のように障がいをもった女性が生きていることを、誰も知らない。政府は何もしてくれない。この村では、私は完全に忘れられた存在」と言います。

7人の子どもを持つこの女性は、手漕ぎの自転車で生活しています。障がいを持つ女性は性暴力の対象になりやすく、彼女も常にHIV感染におびえながら暮らしています。 

 

 

両足を失ったこの女性は、ある夜家で寝ていたら、突然誰かが入ってきて、ひどい性暴力を受けました。「誰も助けに来てくれなかった。相手の男を知っている。あの男は逮捕されたけど、一日で釈放されたわ。」 



紛争中に、神の抵抗軍(Lord's Resistance ArmyLRA)によって両目をえぐられ、腕を焼かれて唇を切られたこの女性は、目がまったく見えません。

 

 

 同じく神の抵抗軍によって暴行を受けたこの女性。鼻と耳と、上唇を切り取られ、耳がよく聞こえません。

 


 
  これらの障がいを持つ女性たちは、「無駄飯食い」と家族からも見放され、肩身の狭い生活を強いられています。また、これらの女性たちが抵抗できないのをいいことに、性暴力のターゲットにする犯罪者が後を絶ちません。
HIV感染におびえながら、継続的な差別に苦しみながら暮らしているウガンダ北部の障害を持つ女性たちの様子を、この特集は鮮明に伝えています。


  ヒューマン・ライツ・ウォッチの障がい者の権利アドボカシー兼調査担当シャンサ・ラウ・バリガは、こう言っています。「ウガンダ北部で長きにわたり続いた紛争の間も紛争後も、語られていないことがいくつかある。そのひとつが、障がいのある女性と少女が孤独のなかで無視され、彼女たちの人権が侵害されている実態だ」。「ウガンダ北部の人びとが生活再建に向け奮闘している今、政府と人道援助機関は、障がいを持つ女性たちが取り残されることがないようにする必要がある。」

 

興味のある方は、こちらもお読みください。

日本語の記事

英語の特集記事

(報告書 73ページ、英語 「『人として扱ってほしい』:ウガンダ北部における障がいを持つ女性への差別と暴力」