ノーベル平和賞授賞候補ー劉暁波ー2010/10/06 13:53

突然ですが、みなさま劉暁波氏をご存知でしょうか?
劉暁波(Liu xiaobo)© CHRD

ノーベル賞シーズンとなり、日本人が化学賞を受賞するなど、日本でも盛り上がっていますね!
さて、ノーベル賞の中でも、昨年オバマ大統領が授賞した「平和賞」に今年ノミネートされている中国の人権活動家が、劉暁波(Liu xiaobo)氏です。ここ1ヶ月間ほど、ちらりちらりとニュースにも登場しているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
そこで、二日間に分けて劉暁波氏にスポットライトを当てたいと思います。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員が発表した記事によると、劉暁波氏は、2008年12月8日に中国国内で拘束され、2009年12月25日のクリスマスに収監されました。

彼は、一体何をしたのでしょうか?
なんと、彼は、「08憲章」という中国の民主化を要求する文書発表の先頭に立ったということだけで、逮捕・監禁・実刑(懲役11年)を受けることになったのです。

まず、中国の表現の自由についての現状について。
経済成長著しい中国ですが、表現の自由、司法の独立などは、驚くほど確保されていません。特に、表現の自由についての規制は厳しく、現在、中国では46名以上の作家や記者が「表現」したことにより、服役しています。また、刑務所に入っていなくても、中国政府から監視を受けている人は大勢います。監視下に置かれた人は、海外はもちろん国内の旅行も許されなかったり、著作活動を禁じられる、電話、メールは盗聴されるなどの大変厳しい監視を受けます。
また、これら言論の自由に対する統制の対象は、漢民族だけでなく、ウイグルやチベットの人も含まれ、実際に言論内容のみで死刑を受けた人もいます。
さらに、最近はインターネットも普及していますが、それに対しては、「インターネット警察」というインターネット専門の調査を行い政府への非難や民主化を規制する警察が存在します。その数なんと、35万とも言われます!!
そして、インターネット上で1-2作品発表しただけで、投獄された人も。

そんな中で、劉暁波氏が303名の知識人たちとともに実名で発表した「08憲章」とは自由」「人権」「平等」「共和」「民主」「憲政」を基本理念に掲げ、三権分立、表現の自由、結社の自由などの19の主張を盛り込んだものです。

ここで、劉暁波氏についてご紹介したいと思います。
彼は、1955年に長春に生まれ、1988年に北京師範大学校で文学博士の学位を取得しました。これは、中国国内では、最も早い時期の文学博士だそうです。この時期の彼は、「黒い馬(ダークホース)」と呼ばれていました。
そんな彼の転機は、天安門事件。

アメリカ留学中だった彼は、事件直前に帰国し、学生たちと共に運動に参加しますが、軍隊出動が始まると学生を出来るだけ撤退させようとしました。運動鎮圧後、彼は、天安門事件扇動者として逮捕されます。運動後の彼は、知識人としての責任を積極的に負おうとしているのが著作から読み取れます。また、個人的な英雄主義を捨てて行きます。今までは、美学哲学などの論文が主でしたが、中国政府の批判、中国知識界への提言を行うようになります。

そして、2008年、劉暁波は「08憲章」を発表したのです。

次回は、08憲章発表後の中国国内の劉暁波氏をめぐる動き、ノーベル平和賞に関する動きについて書きたいと思います。

※彼の著作の中で、日本語訳で出版されているものは「天安門事件から「08憲  章」へー中国民主化のための闘いと希望」(藤原書店)、「現代中国知識人批
 判」(徳間書店)があります。