ノーベル平和賞候補者ー劉暁波氏ー第2部2010/10/07 15:06

ヒューマン・ウォッチが毎年発表している人権賞の受賞者にも選ばれている劉暁波(Liu xiaobo)氏。前回に引き続き、彼についてお話したいと思います。
劉暁波(Liu xiaobo)© CHRD
08憲章(中国の民主化を求めた文書)発表後、逮捕された彼は、11年の懲役を言い渡されました。現在は、妻の劉霞さんとの面会は月に一度たったの1時間しか許されません。政治問題社会問題の話をすることが許されないだけではなく、面会の模様も二人の監視員によってビデオで録画されるそうです(朝日新聞より)。

さて、劉氏逮捕後の中国国内の08憲章をめぐる動きですが、9月25日に中文ペンクラブとアムネスティインターナショナルの主催で行われた「劉暁波は何をしたのか」というシンポジウムに登壇された、中国の作家の話によると、現在では1万人もの人が憲章に署名しているそうです。

そして、この活動のことを、参加者たちは「お茶を飲む」と言って表現しているとか。
みなさん、どういう意味か分かりますか?

私も、最初は「?」が浮かびました。これは警察の事情聴取を受けることを言うそうです!さらに驚くことに、この「お茶を飲む(tea drink)」には17歳の高校生も参加したとか、、、。そして、自分が「お茶を飲」んでから4日のうちに3人を誘うそうです。最近では、自分がお茶に呼ばれた経験をインターネット上で発表する人もいるそう!
「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態だとか、、、。

この様に、「お茶を飲む」と表現することで、事情聴取を受けることの恐怖心が減り、次々にこの運動に参加する人が増えているそうです。特に、今まで中国国内の人権問題にあまり興味を示してこなかった中国の若者が、劉氏逮捕後から「表現の自由」に対する意識を高め、積極的に劉氏解放を求める集会や署名に参加しているそうです。

そんな中国の知識人の中で指導的立場である彼が、ノーベル平和賞にノミネートされましたが、これについて、中国政府はノルウェー政府に対して、「もし授与したらノルウェー政府と中国政府の関係は悪化する」という圧力をかけています。

表現の自由が憲法上保障されている私たちにとって、表現の自由が侵されるということはあまりピンと来ないかもしれません。このピンと来ないほど、当たり前で重要な自由を求めて闘っている劉氏は、「ノーベル平和賞」という名前にぴったりだと思います。この「ノーベル平和賞」の趣旨に反して、政治と政治の駆け引きによって賞の受賞者が変更されることはあってはならないことだと感じます。

収監中に、平和賞を受賞したのは、ビルマのアウン・サン・スーチー氏のみ。劉暁波氏の授賞は難しいだろうという見解もあります。ただ、賞の授賞に関わらず、中国国内の表現の自由の確保、劉氏の釈放の契機になってほしいと思います。

ヒューマン・ライツ・ウォッチも劉氏関連のニュースリリースを多く出しております。
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