マルタの先進的な性的マイノリティへの取り決め2016/06/13 14:28

こんにちは!Human Rights Watchインターンの小池 ほさなです。

 

2015年に渋谷区で同性パートナーシップ条例が成立して以降、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)いわゆる性的マイノリティの人たちへの理解や関心は増え、先月行われた東京レインボープライド2016では去年よりもはるかに多い7万人以上の方がパレードなどに参加されました。関心が増えていくこうした現状の中で、私たちは同じ社会で暮らすLGBTの人たちにどのようなサポートができるのでしょうか。

文科省は学校での性同一性障害(GID)の生徒に関し2015年に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」と題する通知を出しました。性同一性障害の生徒への学校側と医療機関の連携的なサポートや、学校内の相談体制等の充実を促す内容が示されています。日本は、まだこのような通知が出されてから間もない国なのですが、世界にははるかにLGBT含め性的マイノリティへの理解、取り組みが具体的になされている国々があります。今回はその中でも、特に発展している、ヨーロッパにある小さな島、マルタでの政策の一部をご紹介させて頂こうと思います!

 

マルタでは、2015年に学校でのトランスジェンダー、性不一致、インターセックスの生徒たちへの政策とその手順が細かく記された冊子(TRANS, GENDER VARIANT AND INTERSEX STUDENTS IN SCHOOLD POLICY)が出版されました。今回はその中で示されている インターセックスの生徒のための対処方の一部をご紹介致します。この冊子では、トランスジェンダーとインターセックスへのそれぞれの記述が分けられて明記されています。それゆえに、インターセックスにあてはまる定義や問題点、今まで受けた社会的および医学的処置、当事者への対応の仕方をトランスジェンダー含め他のLGBの生徒への意識とは違った理解を促すように事細かく内容が示されてあります。

例えば、インターセックスの身体は通常であり健康状態にまったく問題はなく、インターセックスとはLGBTが重要視している性自認と性的指向ではなく、体の肉体的な特性への自意識が重要であり、インターセックスの当事者には自己の自覚をするための支援サービスがあることをもっと知ってもらう事が必要であると述べられています。インターセックスの人びとの中には、男女どちらかの性別で自認している人もいれば、中性として自認している人もいます。またこの冊子では、人びとが、自己概念でインターセックスの人は性転換手術を望んでいる、インターセックスとはトランスジェンダーなのだ、インターセックスの人の体の特性や性自認はどのケースも同じである、などの仮説は立てるべきではないとも記載されています。インターセックスがどれほど複雑でセンシティブに扱うべきか、注意深く細かく説明されています。

 

日本は、やっとLGBTの人達の存在と状況を理解し始めた出発地点ですが、マルタなどの他の国々では、LGBT以外の性的マイノリティへの理解促進がもくもくと進んでいるようですね。日本も、このマルタのようにもっと国民の理解促進を図れるような政策が取られ、性的マイノリティの人びとが暮らしやすい社会を築いていけるようになればいいですね!



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