インタビューシリーズ「私の哲学」に載りました! ― 2011/12/01 14:34
【ご案内】12月17日 日中弁護士シンポジウム ― 2011/12/02 14:59
平成23年度 日中研究交流支援事業 シンポジウム
「変容する中国の市民社会と弁護士」
2010年は2つの意味で日中関係の構造的転換点となりました。1つは尖閣諸島沖での衝突事件における日中関係の緊張、もう1つは国内総生産(GDP)での日中逆転です。今後、日中間の経済の相互依存関係は深まり、「日本から中国」が主流だった人・モノ・カネの流れは今後、より「中国から日本」へと移ることが予想されます。しかし、中国の特殊な政治体制は日中間の政治と経済の問題を切り離すことを困難にしており、政治関係が悪化すれば経済関係にも影響を与えるため、両国関係全体を予測不可能なものにしています。
一方、中国国内に目を向けると、貧富の格差や幹部の腐敗、不公正現象のまん延など社会の矛盾は深刻化する中、社会的弱者を支援する人権派弁護士やNGOなどが当局からの強い圧力を受けながらも台頭しています。さらに、共産党・政府はインターネットの管理を強化していますが、研究者や弁護士、ジャーナリストら知識人がネット空間で社会問題について激しい議論を展開しています。
これまでの中国は、共産党・政府が、党機関紙人民日報や国営新華社通信、中央電視台(CCTV)など伝統的メディアを通じて情報を独占し、共産党・政府に連なる「主流」と呼ばれる人たちが大きな発言権を握る社会でした。しかしネット上では「微博」と呼ばれるマイクロブログなどが普及し、中国の民衆は、伝統的メディアよりも先に情報を獲得し、その情報に基づいて行動を起こせるようになりました。つまり中国社会の中で共産党・政府の支配の及びにくい民間の空間が広がり、改革派知識人、人権派弁護士、NGO関係者ら、これまで「非主流」だった人たちも社会的影響力を増しています。
本シンポジウムでは、以上のような状況を踏まえ、特にネット空間で影響力を持つ弁護士及びジャーナリストの4名を迎え、「変容する中国の市民社会と弁護士」というテーマで議論を進めていきます。早稲田大学、ヒューマンライツウォッチ、ALSA(Asian Law Students’ Association)の共同企画であり、シンポジウム参加者全員がディスカッションに加わるスタイルで行います。
佐藤博史(足利事件と横浜事件の各主任弁護人、早稲田大学法 科大学院教授) 斯偉江(中華全国弁護士協会知識産権委員会副秘書長) 陳保成(『南方都市報』記者) 土井香苗(ヒューマンライツウォッチ・東京事務所ディレクター) |
(当日のスケジュール)
13:30 受付開始
14:00-14:50 陳有西弁護士による基調講演「変容する中国の市民社会と弁護士」
14:50-15:40 佐藤博史弁護士による基調講演「日本における刑事訴訟の問題点」
15:40-16:20 グループディスカッション
16:20-16:40 ティーブレイク
16:40-17:00 ディスカッションの内容を発表
17:00-17:40 ディスカッションを受けて斯弁護士、李弁護士、陳記者、土井弁護士
がコメント
17:40-18:00 まとめ
参加希望の方は名前、所属、電話番号を明記の上、chinaforum.10@gmail.comまでご連絡ください。
スピーカー・コメンテーター略歴
陳有西:京衝弁護士集団社長、中華全国弁護士協会憲法人権委員会副主任、知識財産権委員会委員など多数の委員を務めるほか、中国人民大学、上海交通大学などで兼任教授を担当。ブログなどにおける司法改革や刑事訴訟法の改正(注1)に関する発言が注目されている。重慶の李庄事件(注2)で筆頭弁護人を担当。
佐藤博史:足利事件の控訴審以降,横浜事件の第4次再審で,それぞれ主任弁護人を務めた。主な著書に「刑事弁護の技術と論理-刑事弁護の心・技・体」(有斐閣、2007年)、「目で見る刑事訴訟法」(第2版)(共著、有斐閣、2007年)、「訊問の罠-足利事件の真実」(角川oneテーマ21、2009年、菅家利和氏と共著)、「横浜事件・再審裁判とは何だったのか・権力犯罪・虚構の解明に挑んだ24年」(高文研,2011年)。
斯偉江:1992年華東政法大学法律学部卒業。上海大邦弁護士事務所パートナー。専門は知識財産権。全国弁護士協会知識産権委員会副秘書長及び執行委員、上海市弁護士協会業務研究・職業訓練委員会副主任、『上海弁護士』雑誌編集委員のほか、華東政法大学や同済大学で兼任講師を務める。上海の大火事被害者や重慶の李庄事件の弁護を担当。
李軒:1968年3月生まれ。北京大学法学部修士課程卒業。現在、中央財経大学法学院副院長・准教授、法律修士教育センター主任、全国弁護士協会憲法と人権委員会秘書長、中国民主同盟中央社会法制委員会委員、北京市法制委員会副主任。会社法、訴訟法、仲裁法などを専門とするが、公益訴訟分野においても広く影響力をもつ。主な著書に『中国弁護士の運命』(改革出版社、1997年)。
陳保成:『南方都市報』記者。1980年5月生まれ。『済南日報』や『新京報』に勤務後、『成都商報』北京駐在所及び『南方都市報』北京新聞センターに勤務。主に政治や法治に関心をもち、政府の情報公開、土地・建物の立ち退き問題、高級官僚の職務変動などに関する報道を行っている。
土井香苗:ヒューマンライツウォッチ東京ディレクター。難民の人権保護活動などを中心に活躍。朝日ニューススター「ニュースの深層」キャスターや朝日新聞紙面審議委員も務める。
阿古智子:早稲田大学国際教養学部准教授。現代中国の政治・社会変動を研究。主な著書に『貧者を喰らう国:中国格差社会からの警告』(新潮社、2009年)
注1:李庄事件
現在重慶市が進めている「打黒」(黒社会(暴力団)一斉摘発キャンペーン)では既に1500人以上が逮捕されているが、被告の1人である龔剛模の弁護を担当した弁護士の李庄が証拠偽造および証拠収集妨害を理由に起訴された。この李庄の裁判を含め、「打黒」全般において、法に基づく適正手続きが欠如しているとの声が法学者の間で上がり、さまざまなメディアにおいて活発に議論が展開された。李庄は第二審の後、自白を強要されたことを告白したが、有罪判決を受け、さらに、2011年6月の刑期満了まで数ヶ月という時に、2008年に上海で担当した訴訟における証拠偽造を理由に再び起訴された。これに対し、著名な法学者やメディア関係者が立ち上がって反対の声を上げた結果、重慶市検察当局は李庄の起訴を突如撤回した。
注2:刑事訴訟法の改正
現在、全国人民代表大会(議会)常務委員会が刑事訴訟法の改正案を審議しているが、そのなかには、取り調べの可視化(録音・録画の許可)や弁護士の役割強化(監視無しの接見と捜査期間中の法律支援の提供を承認)が盛り込まれている。しかし、同時に「国家安全に危害を加える犯罪、テロ犯罪、重大汚職犯罪と住居では捜査の妨げとなる場合、上級の検察と公安の許可を得て指定の場所で監視できる」という「居住監視」をめぐる条項が盛り込まれ、その上、「捜査の妨げとなるとみなされる場合は、監視対象者の家族への通知を行わなくてよい」と解釈できる規定もあり、多くの法学者が反対の意を唱えている。
ご案内:ラウンドテーブル「ロシアの人権: ソ連崩壊20周年を受けて」 ― 2011/12/12 15:12
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のロシア代表 アンナ・セボーティアン(Anna Sevortian)の来日に伴い、以下のとおりラウンドテーブルを行います。年末のお忙しい中恐れ入りますが、是非ともお越しいただけましたら幸いです。
●ソ連崩壊20年:ロシアの人権、政治、そして国際アクターの役割●
日時:2011年12月20日(火)午後4時―5時半
会場:明治大学リバティータワー15階 1157教室 (駿河台キャンパス)http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html(御茶ノ水駅、新御茶ノ水駅、神保町駅 よりそれぞれ 3-5分)
スピーカー:アンナ・セボーティアン(Anna Sevortian)
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)ロシア代表 (経歴)
参加方法:tokyoアットhrw.org (アットを@に変えてください) あてで12月18日までに、タイトル「ロシアラウンドテーブル参加」として、ご氏名・ご所属をお知らせ下さい。
使用言語:英語、日本語
主催:アジア人権人道学会・ヒューマン・ライツ・ウォッチ
内容:
ソ連崩壊から20年、ロシアの人権状況は改善も見られる一方で問題も多い。9月にはプーチン首相が12年の大統領選への出馬意思を表明。まったなしの政治改革への展望に暗い影を落としている。
人権活動家への迫害は続き、NGOを取り巻く環境は厳しい。北コーカサス関連の活動家の殺害事件をはじめ過去多数の犯罪が起きたが、犯人処罰はほとんど進んでいない。ロシア政府の欧州人権裁判所などの人権関連機関への対応もおざなりだ。ロシアでは、表現の自由の分野では前進が見られたものの、それを打ち消すかのように、その他の法律で後退が見られた。
91年のソ連崩壊時、多くの人びとが期待した。共産主義「後」の旧ソ連諸国には、民主主義・法の支配・人権保護に基づく新しい時代がやってくる、と。この予想は誤りだったのか?
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際団体として、最も早くモスクワに事務所を開設した団体の一つ。同事務所を拠点に、ロシアの人権状況について長年調査・報告を続けて参りました。
本ラウンドテーブルでは
・ 1991年以降のロシアにおける人権状況の進展
・ ロシアにおける最近の人権問題
・ 不安定な状況が続く北コーカサス
・ 人権促進に向けて、日本を含む国際アクターの役割
を中心に、ロシアの状況について皆様にブリーフィングさせていただくとともに、意見交換できますことを楽しみにしております。
アンナ・セボーティアン(Anna Sevortian)経歴:
ヒューマン・ライツ・ウォッチのロシア代表。旧ソビエト連邦においても15年以上にわたる人権活動の経験がある。ロシア代表として、モスクワオフィスを統括し、ロシア・ウクライナ・ベラルーシに於ける人権問題について調査・アドボカシー活動をしている。現職に就く以前は、モスクワの民主主義・人権開発センター(Center for the Development of Democracy and Human Rights)の副代表だった。
モスクワ大学で修士号(ジャーナリズム)を取得し、間もなく同大学で博士号も取得予定。ロシア政府と非政府団体の関係を調査分析したセボーティアンの研究は、07年度のチェヴェニング賞を受賞。ケンブリッジ大学国際研究センター(Centre of International Studies)の客員研究員、ウッドロー・ウィルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)の研究員(Galina Starovoitova Fellow)。
2011年3月には、ヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書「打ち砕かれた希望:ベラルーシ選挙後の弾圧」(http://www.hrw.org/reports/2011/03/14/shattering-hopes-0 )を発表した。ロシア国籍。
お問い合わせ: HRW東京オフィス 03-5282-5160 www.hrw.org/ja
「幸福の国」ブータン 隠された顔: 民族差別 ― 2011/12/13 12:46
ただ、残念ながら、ブータンで、ネパール系住民に対する極端な差別政策が行なわれていることはほとんど報道されなかったと聞きました。
1980年後半からブータン政府は「一国一民族」キャンペーンをはじめ、ネパール語を話すブータンの少数民族から国籍を剥奪しはじめました。90年代末には「ブータン化」政策はますますエスカレートし、軍による逮捕や嫌がらせゆえに、多くのネパール系住民がブータンを離れざるをえなくなったほか、軍は、こうした住民たちに、家や土地の放棄を約束する書面への署名を強要しました。
今や、ネパール系住民は、自らの国土の中で、外国人だとして「不法移民」扱いされる有様です。HRWはこの状況を「民族浄化」にあたると判断しています。
詳しく状況を知りたい方へ:
HRWは、ブータンから隣国ネパールなどに逃れた難民たちの状況について2007年報告書にまとめています。
Last Hope という題名の報告書(86ページ)で
http://www.hrw.org/en/reports/2007/05/16/last-hope-0
こちらからリンクがはってあります。
2007年後のアップデートの情報の一部はこちら。
2011年
For Bhutan’s refugees, there’s no place like home
Bhutan should at least allow elderly refugees to spend their remaining days in their homeland.
http://www.hrw.org/news/2011/03/30/bhutan-s-refugees-there-s-no-place-home
2008年
Letter to Prime Minister of Bhutan regarding discrimination against ethnic Nepalis
http://www.hrw.org/news/2008/04/15/letter-prime-minister-bhutan-regarding-discrimination-against-ethnic-nepalis
Bhutan's ethnic cleansing
http://www.hrw.org/news/2008/01/31/bhutans-ethnic-cleansing
年末年始にお勧めの本 =「子どもの人権」 (大人向け) ― 2011/12/14 12:00
●「戦場から生きのびて―ぼくは少年兵士だった」
[著]イシメール・ベア
朝日新聞からのお勧めの言葉・・・
「ラップ大好きな少年が、音楽大会に出るため町に出かけた。ところが一帯は反政府ゲリラに襲撃される。家に戻ろうとしたが、あたりは死体だらけで家族の生死も分からない。どうすればいいんだろう。少年はあてもなく歩きはじめる。
西アフリカ・シエラレオネで93年、12歳のイシメールに実際に起きた事件である。
つづきは こちら http://book.asahi.com/review/TKY200804150122.html
●「収容所に生まれた僕は愛を知らない」 申東赫(しんどんひょく)著 ; 李洋秀訳
「囚人の子として生まれ奴隷として生きた23年。北朝鮮・地獄の収容所から奇跡の脱出!ただ一人の証言者、衝撃の告白。」
人権NGOにつとめて悲惨なことはたくさん聞いてきたつもりですが、改めて、こんなことが地球上にあるのか!と絶句です。素顔の申さんは、23年のブランクを乗り越えようと必死でがんばる青年です。彼の人生の飛躍を、そしてまだ収容所で生まれ死んでいっている多くの子どもたちの一刻も早い解放にむけて、決意を新たにする次第です。
http://www.fben.jp/bookcolumn/2010/05/post_2518.html
福岡県の弁護士さんのコメント
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/6626319.html
いずれも、よみはじめたら止まらない本ですので、夜中に読み始めるのはやめましょう。
それではよい年末年始をお過ごし下さい!
お勧めの絵本 =難民・子どもの人権 (子ども向け) ― 2011/12/16 12:30
http://hrw.asablo.jp/blog/2011/12/16/6246208
今日は、こども向けの絵本のご紹介です。
「ともだちのしるしだよ」
作: カレン・リン・ウィリアムズ
一足のサンダルによって結ばれた、難民キャンプに暮らす少女たちの友情物語です。
絵本ナビの金柿社長から勧められたのをきっかけに読んだのですが、感動。ぜひお子様に読んであげてください。
絵本ナビでは、試し読みができるようです!
↓
http://www.ehonnavi.net/ehon/29366/%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%A0%E3%81%A1%E3%81%AE%E3%81%97%E3%82%8B%E3%81%97%E3%81%A0%E3%82%88/
大人になってからも宝物にしたい、そんな本です。クリスマスプレゼントにもいいかもしれません。
ICNK (北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合) 書簡・プレスリリース ― 2011/12/20 13:44
今年9月8日、「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」(ICNK)が成立したことは皆様に9月のブログでお知らせしました。
http://hrw.asablo.jp/blog/2011/09/24/6109212
きっと、10年後に振り返れば、2011年は、北朝鮮でおきている人権侵害を止めるための国際ムーブメントが立ち上がった年として記憶されることになると思っています。
こちらの基本資料はどこですかというご質問をいただきますので、こちらにまとめました。どうぞご利用下さい。
ICNK設立についてのプレスリリース
日 http://www.hrw.org/node/103741
英 http://www.hrw.org/news/2011/09/08/north-korea-un-inquiry-needed
金正日総書記宛 ICNK書簡
http://www.hrw.org/news/2011/10/03/north-korea-joint-letter-international-coalition-stop-crimes-against-humanity-north-
それぞれ格調高いよい文書です。
ICNKは、国連で、北朝鮮の人権状況を調査・査察する調査委員会の設立を求める国際コアリションです。皆様の応援をお願いいたします。
朝日新聞GLOBE、プラトン氏の「立ち上がる市民社会ロシア20年の肖像」が掲載されました ― 2011/12/21 10:42
産経ニュース:「ロシアの春はまだ遠い」 露人権団体代表 24日のデモ注視を ― 2011/12/22 17:45
彼女のインタビューが産経ニュースに先ほど載りました!
(インタビューしてくださったSANKEI EXPRESSの内藤編集長は、ロシア語ぺらぺらで本当におどろきました!アンナも「なまりもないロシア語だった」と驚いていました)
産経ニュース
「ロシアの春はまだ遠い」 露人権団体代表 24日のデモ注視を
2011.12.22 14:47 (2/2ページ)[ロシア]
抗議活動中、警備員に拘束されるFemenのメンバー =9日、ロシア・モスクワ(AP)
中東諸国で独裁政権が崩壊する「アラブの春」ならぬ、「ロシアの春」到来の可能性については「若者人口が多くデモの主体となっているアラブ諸国と、若者が少ないロシアとは違う。ロシアでいま起きていることは、アラブ諸国のような『革命』でも『暴動』でもない。24日に予定されるデモがどのような形になるかが、今後を占う試金石となるだろう」とした。
続きはこちら!:
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111222/erp11122214480004-n2.htm