ニュースの深層 リビア市民保護のための武力介入2011/04/04 01:23

インターンの石川です。

今日のニュースの深層ゲストは

世界連邦運動http://www.wfmjapan.org/執行理事・国際委員長

勝見貴弘さんです。

 

テーマは「リビアへの武力介入~市民を保護するための武力介入をどう評価するか」


ご自身のブログでも報告していらっしゃいます!

REPORT:2011/3/30 出演番組『ニュースの深層』語られたことの全容

http://in-the-eyes-of-etranger.blogspot.com/2011/03/report2011330.html

以下、私がまとめた一問一答です。
◆国連安保理決議1973とは?

市民を保護するために、即時停戦を要求し、飛行禁止区域設定のために、武力行使を含めあらゆる措置をとることを認める、というものです。国連憲章第7章(平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動)に基づいています。ただし武力行使の中でも外国軍による占領は禁止されます。

◆ICCとは?

国連安保理決議1970226日)においてリビア問題がInternational Criminal Court国際刑事裁判所に付託されることが決定しました。

リリースはこちら(http://www.hrw.org/ja/news/2011/02/27/icc)このICC、20033月オランダ、ハーグで開所しました。

個人の国際犯罪を裁く常設国際司法機関であり、国際社会が関心をよせる重大な犯罪(ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪の4つ)について責任のある個人を訴追し、処罰します。ただしICCで裁かれるのは、国内にこれらの罪を裁く機関がない場合、あっても裁こうとしない場合に限ります(補完性の原則)。

上記の国際法違反によりICCに提訴される事例が増えていけば、将来同様の犯罪が繰り返されることを防止できるのです。締約国は201111月現在114カ国、署名139カ国。広がりつつありますが、国際法違反を犯すリスクのある国、あるいは時刻の軍事裁判所で裁判が可能であることを理由にICCの制度に反対している国もあります。(その一つがアメリカです。)


◆保護する責任とは?

2005年に開かれた国連首脳総会で示された「保護する責任」とはどういうものなのか?まず、国際法の原則に、国家主権があります。この主権は国民を保護する責任を伴います。もしも国家が国民を保護する責任を果たせない場合は、国際社会がその責任を務める、という論理です。この市民を保護する責任は、不干渉原則にさえ優先します。その条件は次の6つ。(理由の正当性Just cause、代替手段の不在Last Resort、権威の正当性Legitimate Authority、意図の正当性Right Intention、手段の均衡性Proportional Means、合理的見通しReasonable Prospect

また、国連決議1970で(国連決議1973の武力介入よりも前に)ICCへの付託が決定されたことは、「勝者の裁き」の苦い教訓が再現されないためにも重要です。(旧ユーゴスラビア軍事法廷ではNATOによる「人道的介入」が裁かれませんでした。過去をさかのぼればニュルンベルク国際軍事裁判所や東京裁判の例が挙げられます。)

◆日本政府のとるべき道とは?

「平和のための武力行使を容認することは、平和のうちにある日本では違和感を感じるかもしれません。さらに憲法9条が存在し、武力介入に対してどのような態度がとるか、が問題となります。ここでは国連決議1970のICCへの付託のような非軍事的措置を支持する方向で国際社会に協力することが可能であり、すべきなのです。」

勝見さんによれば、もう一つの選択肢が、国連緊急平和部隊(UNEPS)の設立です。
国連が主体となり世界中から有志の応募により組織された軍隊の構想です。
これについて日本人であっても自由意思で部隊に参加することは、憲法上問題ないとの
見解が
大橋武夫法務総裁の答弁(昭和261029日)で出されています。
勝見さん私設秘書を務めた犬塚議員のブログ
http://uneps-jp.blogspot.com/2007/06/blog-post_4900.html

 

なお、国連決議19701973について外務省の談話

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/23/dme_110227.html

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/23/dmt_110320.html

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/23/dmt_110318.html

 

地雷を使用していることも明らかになったリビア。http://www.hrw.org/ja/news/2011/03/30)今後も、カダフィ大佐が亡命を受け入れることと引き換えに、ICCで訴追されないという取引がないかどうか、を注視していかなくてはなりません。


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