ニュースの深層:「コートジボワールの悲劇」2011/04/29 11:47

みなさま、こんにちは。インターンの湯村です。香苗さんが水曜日を担当している生放送報道番組「ニュースの深層」。4/20の撮影に同行してきました!
         左から:西谷さん、香苗さん、勝俣誠先生

今回のゲストは明治学院大学教授の勝俣誠先生でした!
今月6日、在コートジボワール日本大使の岡村大使の公宅に、バクボ(前大統領)派兵が侵入し、国連軍と仏軍に救出されるという事件が起きました。この事件は日本でも注目を浴びましたが、昨年の選挙戦を巡っての混乱は、あまり報道されませんでした。

西アフリカにあるコートジボワールで、今何が起きているのか。同国の情勢を読み解くには、歴史的背景を理解する必要があるとアフリカ研究の第一人者である勝俣先生は言います。とっても複雑なコートジボワールをとっっても分かりやすく1時間で解説してくださいました。

コートジボワールは、コーヒーやカカオが採れ、気候的に豊かな国です。相対的に、ギニア湾に面した南部の方が北部より豊かです。19世紀末からフランス植民地となりましたが、アフリカのフランス植民地の中でも最も豊かな国でした。周辺の国から、移民を受け入れていた国でもあります。

独立後、初代大統領にボワニ氏が就きました。カリスマ性が高く、「建国の父」として人気を集めました。1960~70年代は「コートジボワールの奇跡」とも言われるほど経済成長が進み、豊かな時代となりました。
一方で、ボワニ政権は野党のいない、一党独裁でした。(バクボ氏はこれを批判していました!)また、経済もモノカルチャーで上手くいかなくなり始めました。そこで、有能なワタラ氏を首相に抜擢したのです。

しかし、ボワニ氏が亡くなり、後の大統領選にワタリ氏は出馬することが出来なくなってしまいました。コートジボワールは、北部はイスラム教が、南部はキリスト教がマジョリティです。もう一人の大統領候補であったベディエ氏は、北部出身のワタラ氏は「外人」であるとし、出馬を阻みました。両親がコートジボワール人でなければ出馬できない「国籍法」を作ったのです。
元々、アフリカのこの地域は、今の国境線を跨るKonoという大国が存在していました。(ワタラ氏はこの末裔。)生まれが政治化されるという現象がこの「国籍法」によってもたらされました。

その後、2002~2003年の内戦を経て、国連が介入し、公正な選挙を行うことになりました。それがようやく実現したのが、2010年の大統領選挙なのです。
主な候補は、当時現職大統領のバクボ氏、ワタラ氏、ベディエ氏の3人でした。そして、決選投票に残ったのは、南部から当時現職大統領のバクボ氏と、北部からワタラ氏です。バクボ氏45%、ワタラ氏54%と、投票結果ではワタラ氏が勝利しました。

しかし、バクボ派が多数を占めていた憲法評議会は、バクボ氏の勝利を宣言。これにより、両派の激しい対立が長期にわたって生じました。様々な調停が試みられましたが、対立は続きました。

国連事務総長の要請を受け、フランス軍が介入に入り、国連軍も続きました。そして、バクボ氏が今月の11日に逮捕されたのです。

他にも、

岡村大使公邸の侵入事件について、
バクボ氏の人物像、
バクボ氏、ワタラ氏両派とも民間人を殺害したこと、
裁くことの意義、
国際社会や日本の役割、
今後の見通し、

などについても熱い議論が交わされました。

専門家をお招きし、55分間、人権にかかわる話題を徹底討論する「ニュースの深層」水曜日。来週もご期待下さい!!

                  放送直前の様子