ロシア出身シニアリサーチャーを迎えてのブラウンバッグランチ―HRWニューヨーク本部インターン日記 ― 2010/03/09 07:14
お久しぶりです。NYインターンの奥村真知子です。先週あたりからこちらはだいぶ暖かくなってきました。春の足音が少しずつ聞こえてきたことと期待したいところです。
このようにとても気軽な感じ集まりではあるのですが、なんとためになる話が聞けたことでしょうか。今回のゲストであるアナ・ネイスタットさんは、実はすごい方でした。 母国ロシアのラジオ局でジャーナリストとしての経験を積み、法律家として博士号も所得したアンナさんは、9年前HRWに参加しました。しばらくはモスクワオフィスにてチェチェン紛争や旧ソビエトにおける人権問題に取り組み、その後、NYオフィスの緊急事態対策局の上級調査官となって現在にいたります。これまでに、ハイチ、ジンバブエ、ウズベキスタン、キルギスタン、ネパール、スリランカ、アルメニア、ベラルーシ、イスラエルなど、多数の国ぐにの人道危機状況下における人権侵害を調査、公表してきました。
さて、先週は今年に入って初めての「インターン・ブラウンバック・ランチ」に出席してきました。これはインターンが昼食を取りながら、ゲストスピーカを囲んでお話を聞くという企画で、HRWのNYオフィスでは定期的に開かれているものです。「ブラウンバック」というのも、アメリカでは一般的な、お昼ご飯用の茶色い紙袋に由来しています。
http://www.unmultimedia.org/tv/unifeed/d/12728.html
アナさんのお話に見て取れる自信は、ジャーナリストと法律家という豊かなバックグラウンドと、人道危機専門家として多国で働いてきた経験とに裏打ちされているようでした。私は個人的に、彼女がばりばりと活躍している鍵は、法律家という専門性にあるのではないかと思ったので、それについてきいてみることにしました。拘禁施設の調査や難民や庇護申請者へのインタビューの場合、法曹の資格があるからこそできることが増えるのではないかと思ったからです。しかし、アナさんによれば、法律家だけが優先的にこの分野で役立つわけではないとのこと。法曹の資格を得るまでには長い道のりがあり、その大半が人権分野とはほとんど無関係の内容であるため、始めから人権分野で働きたいと分かっているなら、むしろ特定地域の政治学や言語などの専門性を深めた方がいいのではないかとのことでした。これは意外で興味深いものでした。実際にこの道には大きく分けて、①法律家②ジャーナリスト③特定地域の専門家のバックグラウンドを持つ人たちがいて、そのどれをも手にしているのが彼女なのかもしれません。私たちインターンのように、将来この分野に携わっていきたい人にとって、第一線で活躍するアナさんのアドバイスは説得力がありました。すばらしいお昼休みに感謝です!