芸術か犯罪か?―ウズベキスタンの人びとのくらし(その1)2010/03/02 18:17

これから3回に分けてご紹介するのは、ウズベキスタンの写真家・映像作家ウミダ・アーメドワさんの写真です。

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これがウミダさん。2004年にロシア・インタープレス写真コンテストや、その他で様々な賞を受賞しています。ウズベキスタンの人びとのくらしを生き生きと伝える作風が特長です。

そんなウミダさんが今年の1月末、「ウズベキスタン国民の名誉を毀損し侮辱した」という罪で逮捕されました。ウズベキスタン政府は、ウミダさんの作品が「田舎の発展の遅れた農村で撮影されている」ため、「外国人がウズベキスタンの人びとは中世さながらの生活を送っていると思う」というのです。ヒューマン・ライツ・ウォッチはただちに、「国による表現の自由への干渉。起訴を取り下げよ」(http://www.hrw.org/ja/news/2010/01/28-1)というリリースを発表しています。

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女性の民族衣装と自然の緑との鮮やかな対照が美しいこの写真は、2007年に発表されたウミダさんの写真集『男と女: 日没から夜明け』から。

ウズベキスタン政府は6人の専門家による委員会に、ウミダさんの作品を再評価するよう依頼しました。結論は、「西側の視聴者に対してウズベキスタンを否定的に描いている」でした。

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ウズベキスタンの農村にくらす人びとのつつましい日々のすがた…。芸術家として「表現の自由」を存分に享受して創り出した作品によって、ウミダさんは2月半ばに有罪判決を受けます。結局その場で恩赦により放免されましたが、彼女は一生犯罪者の記録を背負ってゆくことになったのです。

これからお見せする写真は、芸術か犯罪か?どうぞご覧ください!

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粉を顔につけた少女のまっすぐなまなざしが印象的なこの写真は、特別委員会が特に「僻地の村がいかに遅れているか、いかにくらし向きが厳しいかを意図的に表したもの」と問題にしました。私は、少女の視線に力強い意志を感じます。くらしは決して楽ではなくても、それを生き抜く意志です。…皆さんは何を思いますか?

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婚礼儀式や少年の割礼習慣――ウミダさんが光を当て、生き生きと切り取ったウズベキスタンの伝統も、ネガティブな犯罪に値するものと政府が判断したものの一つです。

さて、次回も続けてウミダさんの作品をご紹介していきます。ウミダさんの作品は、果たして芸術か犯罪か?
どうぞ、皆さんの目でお確かめください!
                                                                    All Photos (c) Umida Ahmedova

ウミダさんに関するヒューマン・ライツ・ウォッチの関連リリースはこちら
http://www.hrw.org/ja/news/2010/01/28-1