ニュースの深層:「子どものために司法を開国するか」2011/08/09 19:16

みなさん、こんにちは。インターンの佐藤です。
ニュースの深層」8月4日の撮影に同行してきました。この番組で香苗さんは水曜日を担当されています。
今回のゲストは、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン シニアアドバイザーの森田明彦さん。「子どものために司法を開国するのか」をテーマに子どもの人権条約についてお話を伺いました。

   
  左から香苗さん、森田さん、アシスタントの西谷祐紀子さん

セーブ・ザ・チルドレンは1919年にイギリスで創設され、子どもの権利条約の草案を創設者であるエグランタイン・ジェブ氏が作成するなど、子どもは「自分に影響を及ぼし得る事柄に対して決定権を持っている」ということを重要視し、子どもの権利を守る活動を最前線で行ってきているNGOです。

子どもの権利条約は、生きる権利、育つ権利、暴力や虐待から守られる権利、参加する権利という4つのカテゴリーを定めた国際的な人権条約です。

しかし、人権条約によって認められた権利を侵害された個人が、国内的な救済措置を尽くした後であれば、各人権条約の条約機関に直接訴え国際的な場で自らが受けた人権侵害の救済を求めることができる、という個人通報制度をこれまで備えていませんでした。このことで、いわゆる先進国でも、個人の権利が充分に保証されていない場合があり、実際日本でも、国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度があり、日本が加盟していれば明らかに通報の対象となったにもかかわらず、制度の不備のため刑事裁判において十分な救済がなされなかったという事例があったそうです。

権利侵害を受けた子どもが正当な救済を得られなかった場合に国際的な制度によって救うことを可能にし、国連子どもの権利委員会に申し立てをすることで、国際的基準から見たそれぞれの国の権利保障制度の問題点を明らかにし、法改正を含む適切な改善策の発見ができるというのが個人通報制度の意義です。

国連子どもの権利委員会に個人通報制度を設けようという議論は1980年代からあったそうですが、具体化したのはここ5年ほどの間のことだそうです。日本でも、2009年にセーブ・ザ・チルドレンが主導したキャンペーンが行われ、ついに2012年1月には子どもの権利委員会に対する個人通報制度を創設する新議定書の署名式が予定されています。日本政府は、2011年6月の人権理事会でこの新議定書の共同提案国となる決断を下しましたが、森田さんがこれを「歴史的英断」であると表現されていたのが印象的でした。

森田さんは今後、日本政府が引き続き新議定書案の共同提案国となり、合同署名式で新議定書に署名し、その後出来るだけ早く批准して新議定書の加盟国となるよう働きかけていくとのことです。また、この新議定書への加盟を一つの契機として、日本が北東アジアにおける地域的子どもの権利保障メカニズムの実現に向けたイニシアティブを取ることを期待しているとおっしゃっていました。

「ニュースの深層」水曜日夜8:00~8:55 朝日 ニュースタ―
 ぜひどうぞご覧ください!