MISSION上映&トーク大盛況でした!2010/12/31 02:10

12月29日(水)年の瀬の青山AZITOには、明るい灯が点っていました。

NHK地球ドキュメントMISSION
上映&トークイベント 「今年も終わり!-来年のミッションは何にしよう?」開催されたのです。
土井さん(左)とサヘルさん(右)

会場は満員。お越し下さった皆様、本当にありがとうございました。
そして会場をご提供くださった青山AZITO関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

ゲストはサヘル・ローズ(イラン人女優・写真右)、土井香苗(ヒューマンライツウォッチ日本代表・写真左)です。

2人は堀尾正明アナウンサーとともに、
「地球ドキュメント MISSION」は、社会問題に取り組んでいる人たちに密着し、その人たちが立ち向かう「壁」とその「突破口」を追う番組のキャスターをつとめています。
http://www.nhk.or.jp/mission/

このMISSIONの生みの親が、NHKのプロデューサー北村さんです。トークイベントの冒頭でご挨拶を頂きました。

「MISSIONは事実を報道して終わり、ではなく出演者の活動を紹介することで、実際に視聴者が支援の輪を広げ繋がっていく、類を見ない貴重な番組です。
実際に、自分に何ができるかという提案や支援の申し出が来て、放送した活動が前進している例が多くある。
おこがましいと言われるかもしれないけれど、テレビが世界をよりよいものにできる可能性を見せてくれる番組なのです。」


はじめに、会場の皆様にMISSIONをより知っていただくため、2010年12月12日に放送された「"義足革命"で途上国の人々を救う」が上映されました。
「途上国の貧しい子どもたちでも手に入れられる、安価な義足を」。
島根県の山間の小さなハイテク義肢装具メーカー「中村ブレイス」の社長、中村俊郎さん(61歳)は、通常の40分の1という超低価格を実現するという"ミッション"を掲げ、義足の開発に乗り出した・・・。

普段BS放送が見られない方々は、MISSIONを見て改めてその魅力を知った方々もいらしたようです。

イベントはサヘルさんと土井さんのトークセッションへ。

お2人の出会いは雑誌「世界」での対談でした。
「海外の報道番組では自国の事件のみならず海外で起きるニュースを幅広く報道する。しかし日本では自国の事件のみ。それを反映するのが、様々な人種がキャスターを務めている海外に比して皆日本人。
このあり方を変える第一歩として、この番組でサヘルさんがイラン人女優として初めてキャスターをつとめるきっかけとなったのです。」

サヘルさんは、自らの壮絶な経験を逃げずに受け止め、その経験ゆえに他人の苦しみに共感できる優しさを持つ方です。
イランイラク戦争の空襲で家族12人を亡くし、孤児となりました。
その後養母と日本へ渡り、いじめや養父による家庭内暴力、そして路上生活…。
これでもかと降りかかる試練。それらの出来事を、淡々と微笑みを携えて語るからこそ訴える力が増します。

サヘルさんは言いました。
「MISSIONは「気づかせてくれる」番組です。
私たちは誰もが他人の気持ちを変えることはできない。気持ちを変えるのは自分自身しかいません。でも気づくきっかけを与えることはできます。世界に対して無関心でいられない、自分にも何かできるのではないか。私たちが発信することで、そこに留まらず結果となって帰ってくる。
この番組のキャスターを務めることができ、本当に幸せに感じています。」

サヘルさんはご自分の稼いだお金を少しずつ貯金して、母国のイランに学校のような教育施設を創設することが夢です。そのためには、設備だけではなく持続可能なシステムが必要です。

「また課題はたくさんあるけれど、MISSIONを通じて様々な人々と出会い、自らのやるべきこと、道筋が見えてきた段階です。」

MISSIONは同じ志を持った人々を繋ぎ、輪を広げ、現状を変えていく確かな力を持つ番組なのです。

今夜のトークイベントも、人々を繋ぎました。
参加者の中に続々と、ご自身のMISSIONにむけて活動されている方々がいらっしゃったのです。
それは次回にお伝えします!



MISSION上映&トーク②参加者のMISSION2010/12/31 02:12

NHK地球ドキュメントMISSION
上映&トークイベントでは、会場にお集まりの皆さんの中からご自身のMISSION達成に向けて活動している方々お2人をご紹介しました。

1人目は、チャリティプロジェクトENIJE'(エニジェ)http://www.enijeproject.com の 代表
矢野デイビッドさんです。

デイビットさんがプロジェクトを起こすきっかけとなった忘れ難い出来事があります。

「20歳を過ぎてガーナへ帰国した際、首都アクラで5、6歳の少年と会いました。
「お金ちょうだい」そう言った少年は自分と瓜二つでした。
自分は偶然日本という環境で満足のいく暮らしをしているが、一歩境遇が違うだけで、貧困にあえぐ子どもが沢山いる。
この状況を何とかしたい。この経験が自分の役目として日本でプロジェクトを発足させるきっかけとなりました。」

「ガーナのストリートチルドレンが安心して寝られる養護施設と、しっかりと勉強できる学校を作り、将来は教育や技術を学べる場としても機能させたい。」
それがデイビッドさんの目標です。

デイビッドさんのオフィシャルブログはこちら→http://ameblo.jp/devid/

「イベントを通じ楽しんだ対価を、子どもに与える。それはイコール(=)で結ばれる平等の関係です。
それどころか、自分が子どもに与えた分より何倍も、子どもの笑顔が返してくれる。
子供が夢を追う力を見ることが、自分自分の活力に変わるのです。」


2人目は
慎 泰俊さん
LIVING IN PEACE(公式HP http://www.living-in-peace.org/)の代表であり、マイクロファイナンスと日本における児童養護施設の支援を行っています。
慎さんは日本の児童養護施設の現状と問題について話して下さいました。

「虐待などが理由で、親から隔離されて児童養護施設で暮らしている子どもは全国に3万人います。施設の数は570あります。
しかし資金不足と人で不足に苦しんでいるのが現実です。」

「努力すれば誰でもいい暮らしが出来る。これは一面において事実かもしれません。
しかし努力できる能力は自分の人生を肯定する感情に由来し、その根底には人間に対する信頼があるのです。
暴力や放置、性的虐待を受けた子どもは、人間に対する信頼を根底から失っています。
その回復のためには、受けた虐待と同じだけの密度と時間のケアが必要です。
しかし一番費用がかかるのが人件費。ほとんどの児童養護施設は資金に余裕がなく、親代わりとなる職員を十分に雇えていません。
職員は平均して10人以上の子どもの面倒を同時に見ています。
子どもは手厚いケアを受けられず、心の回復はなかなか進みません。」

児童養護施設での住込みをし勉強を重ねて見つけた糸口が、施設の改築です。
「児童養護施設の旧式の寮のような作りを、家庭に近い環境で子どもたちが生活できる施設に建て直すことで、心理的な安心を得られる他、現行制度の下では、補助金の額も増加します。」

「職員数不足の根本にあるのは、社会の無関心です。ただ、社会の関心を高めてそれを政策変更にまで結びつけるには、年月がかかる。
これまで、少数の富裕層がポーンと出す場合が多かった。当面の問題は解決ても、根本的な問題である社会の無関心を解決できません。
だから、より多くの人々からの寄付を募っていきたいと考えています。」

慎さんのブロはこちら↓
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/

2回に分けてお送りしてきました、MISSIONトークイベント。
参加者の方々が、MISSIONを見たい、自分も何かできることをしたい。

そう心に誓った年の瀬の夜となりました。