国内治安の維持強化に舵を切った中国共産党2011/05/25 16:17

(2011/04/15) 土井香苗 著

前回(http://hrw.asablo.jp/blog/2011/05/24/5877926)述べたように、諸外国政府の沈黙に自信をつけた中国政府は、とうとう、世界的に著名な芸術家である艾未未(Ai Weiwei、アイ・ウェイウェイ)氏の逮捕に踏み切った。中国政府による艾未未氏の拘束は、慎重に計画されていたとみられ、逮捕当日、北京公安は、北京の郊外にある彼のアートスタジオを捜索してコンピュータ、ハードドライブなどを押収。さらに彼のスタッフ8人、妻の路青氏、艾氏の有人で弁護士の劉暁原氏も尋問のために連行された(但し、全員その日中に釈放)。国営メディアは、この事件を報道しないよう指示されており、インターネットや、ツイッターの中国版” Weibo”( 微博)などの人気のマイクロブログでも、艾未未氏の逮捕への言及はすべて検閲されている。

 中国の法律上、警察は、個人を逮捕した場合、原則として3日以内に、釈放するか又は検察に逮捕令状を請求するかを決定しなくてはならない。しかし、警察は、拘禁を7日間に延長する(限られた状況では30日)例外条項を恒常的に濫用している。また、法律上は、弁護士には拘禁中の被疑者に接見する権利が定めているものの、実際には、日常的に弁護士の接見は妨害されている。北京の著名な弁護士で、艾氏の弁護人である浦志強弁護士は、依頼者である艾氏への接見はもちろん、逮捕に関する正式な通知を得ることさえ妨害されている。

 しかし、中国の最も著名な芸術家の一人で、ロンドンのテート・モダン(Tate Modern)美術館で展覧会を開催中に逮捕された艾氏に対しては、さすがに欧米政府が声をあげはじめている。例えば、ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外相は、艾氏の状況に関する「緊急の説明」を中国政府に求めた。英国のウィリアム・ヘイグ外相は「早急に艾氏の状況と、健康と安全を明らかに」するよう政府に求めた。欧州連合の北京代表部や、オーストラリア政府も懸念を表明している。米国務省のマーク・トナー報道官も、4月4日、政府が「深く懸念している」と述べた。

 さて、日本政府はどうしているのか。残念ながら、いつもどおり「沈黙」しているようである。

続きは・・・
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011041400016.html