椎名毅議員(結いの党)がすばらしい国会質問をしてくれました!2014/06/27 17:18

【すべての子どもに家庭を!キャンペーン・国会報告】

椎名毅議員(結いの党)がすばらしい国会質問をしてくれました!

椎名議員は6月6日、厚生労働委員会で大臣などに対して、社会的養護・里親委託・特別養子縁組などについて質問してくださいました

椎名議員

椎名先生は:

●施設養護でなく里親委託するのに、経済的インセンティブがあるシステムにすべき

●新生児の特別養子縁組あっせんである愛知方式をもっと広げるべき

●新生児の養子縁組で、0ヶ月児の虐待や中絶で命を失う赤ちゃんが生き延びられる可能性ある

●里親登録している人の半分以上に、子どもが委託されていない。マッチングのシステムの改善を

●養子縁組、里親委託にむけ、児童相談所は民間ともっと連携すべき


などとても重要なことを質問してくださいました。

特に、赤ちゃんの特別養子縁組あっせんである愛知方式について、児童相談所の「労力がかかる」ので広がらないと政府が答弁しているのは、本当に残念。児童相談所に「労力」=人員を配置する予算つけず、赤ちゃん縁組を強く指示してもいないのは政府なのに。

子どもの施設養育予算が年間700億円とのこと。そのごく一部でも赤ちゃん縁組の人員に充てれば、将来の無駄な出費も大幅に削減でき、赤ちゃんも施設育ちを脱して家族をもてるのに。

椎名議員、重要な質問を本当にどうもありがとうございました。椎名議員の質問の全文はこちら→ http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009718620140606026.htm

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詳細→http://bit.ly/1rB9lyy




質問全文は、以下のとおりです。

衆議院

厚生労働委員会

26

平成260606

 

 

○椎名委員 結いの党の椎名毅でございます。
 本日、初めて厚生労働委員会に参加をさせていただきました。
 我が党の井坂委員と交代ということで、三十分質疑時間をいただきましたことに改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
 本日は、社会的養護について伺いたいというふうに思います。
 私自身も、地元、神奈川県川崎市麻生区、多摩区でやらせていただいていますけれども、社会的養護にかなり興味を持って、地元の児童養護施設等を訪問させていただき、社会的養護について積極的に今取り組ませていただいております。
 社会的養護について、従前からよく言われている問題ではありますけれども、日本の社会的養護が必要な要保護児童約四万六千人のうちの大体一割ぐらいが家庭的な環境における養護を受けている、いわゆる里親ですけれども、残りは全て施設ということですね。この比率は近年比較的上がっているということでございますけれども、それでも、まだ諸外国と比べると、例えばオーストラリアは九三・五%が家庭的な養護、いわゆるフォスタリングですね、アメリカだと七七%、香港だと約八〇%ぐらい、大体こういう形だというふうに言われています。
 施設内養護から家庭的な養護へというのが、厚生労働省も方針として打ち出していただいていると思いますが、これからのあるべき姿だろうというふうに思っています。
 その中で、幾つか伺ってまいりたいというふうに思います。
 まず、施設内養護の問題点として、幾つか挙げられると思いますが、施設の中で、職員による児童に対する虐待事例というのが多数報告されているかというふうに思います。先ごろ、テレビドラマにもなった、「明日、ママがいない」というドラマもありましたけれども、職員による児童に対する虐待というもの、これは性的な虐待まで含んでいたりもします。さらには、児童同士の性暴力という事案も報告されていたりします。
 やはり、こういった事案を考えると、施設内養護よりも家庭的環境における養護というのは進めていくべき、しかるべきだろうというふうに思いますけれども、まず、とはいえ、今、約九割、八五%から九割程度は施設内養護をしていますので、この虐待事案や児童同士の性暴力などについての対策というところについて大臣に伺いたいと思います。

 

○田村国務大臣 施設内の虐待というのは、これは大きな課題でありまして、こういうものをいかに防いでいくか、重要な問題だというふうに認識いたしております。
 平成二十年でありましたけれども、児童福祉法改正で、虐待を受ける、言うなれば被措置児童に関して、御本人が児童相談所に直接通報できる、そういう仕組みを取り入れました。権利ノートの方に、直接連絡できるような、そういうような情報を入れるということで対応しておるわけであります。
 また、一方で、この問題に関しまして、虐待の対応のガイドラインというものをその年の三月につくったわけでありまして、そういうような形でしっかりと対応いただくというようなことであります。
 本年の三月には、社会保障審議会の児童部会の中に置いている専門委員会、ここで、いろいろと、これから、この夏をめどにワーキンググループをつくろうというふうに考えておるわけでありますけれども、このワーキンググループの中で、例えば、児童虐待が起こる状況、こういう起こりやすい状況の解明というものをしたりでありますとか、早期発見して早期対応する、こういうようなことを、どのようなあり方があるか、取り組みに関しての検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
 ショッキングなドラマもあったわけでありますけれども、だからというわけではありませんが、この大きな課題に対してしっかりと我々対応してまいりたい、このように考えております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 もちろん、ちゃんとやっている施設がたくさんあるのは、それはそのとおりなんだと思いますけれども、やはり、ぜひ、この対応はきちんとやっていただきたいなというふうに思っています。
 児相への直接連絡というのがまずございましたけれども、施設の中に入っている児童というのは、逃げ場が基本的にはないんですね。親子間の関係性が崩れているからこそ要保護児童であり、そして施設の中にいるということで、施設の中での対応が悪かったときに、行き場は児相しかないんです。
 しかし、児相そのものは、内々で話を聞いたりすると、児相の職員なんかも、虐待、そういうのはあって当然なんじゃないのというふうに今感覚として思っているわけですね。だから、それがあるのが当たり前だと思っている人たちも結構いる中で、そこに救いを求めていくというのは、みんな同じなんだからといって、なかなか救いにならない部分もあったりします。
 なので、ぜひ、そういうところのモチベーションというか考え方の変更というところまでも含んでやっていかなければならないことなのではないかなというふうに私自身思っています。児相の職員というのは最後のよりどころであるにもかかわらず、なかなか距離が遠いんじゃないかというふうに思っております。
 引き続いて、次に行きたいと思います。
 先日、二カ月ほど前だと思いますけれども、総理が葛飾区の児童養護施設に行っていただいたというふうに理解をしております。その中でも、こういうところに対する予算をもっとつけましょうみたいな、受け入れ拡大策、受け入れ拡大事業についてもっと予算をつけていきましょうみたいな御発言をされたやには聞いておるわけでございます。
 そこで、少しこの社会的養護関係の予算について幾つか伺ってまいりたいと思いますけれども、やはり、施設偏重型の予算配分ではなくて、里親委託それから養子縁組の促進といった方向性にかじを切っていくために予算を使っていってほしいなというふうに思います。
 今年度の予算としても、九百五十九億だったと思いますけれども、児童入所施設措置費というふうになっています。やはり、これを見るとどうしても、施設内養護の偏重というのが予算の上でも見られるように思いますけれども、今後、児童福祉施設は自治体の自治事務ですから、自治体に対して、施設内養護ではなくて里親委託を進めていく方向性でインセンティブをつけていかなきゃいけないというふうに思います。
 これはやはりエコノミクスこそが全てなんじゃないかなというふうに思うので、税、交付金といった、そういうところなのかなというふうに思いますけれども、このあたり、社会的養護の予算について、特に施設養護と里親委託というところについて局長の御意見をいただければなというふうに思います。

 

○石井政府参考人 社会的養護を必要とする保護者のない子供や虐待を受けた子供を家庭的な環境できめ細かにケアすることができるよう、里親への委託、あるいは児童養護施設等の小規模化や地域分散化を推進しながら、児童の生活の支援のための所要の財源を確保してきたところでございます。総理のさきの御発言も、小規模化というのは重要だねということで御発言されたというふうに受けとめております。
 それで、予算でございますが、平成二十六年度の児童の生活の支援のための予算額としましては、里親、ファミリーホームには六十億円程度、そして児童養護施設、乳児院には六百九十億円程度と積算されております。これは措置されている児童数の見合いというふうに受けとめていただければと思います。
 そして、委員の方から、自治体に対する経済的なインセンティブが何より肝要という御提案をいただいたわけでございますけれども、現在、自治体間の里親委託率、かなり大きな違いがございます。一番高い新潟では四四・三%、対して一番低いところでは五%と、全国平均が一四・八でありますが、相当な開きがある。
 やはり、この辺を見ますと、まずは自治体の里親委託率の違いを例えばグラフ化をして示して、このぐらい差があるんだ、ここまで本来できるはずだとか、あるいは、近年急激に里親委託率をうまく成功させた、活性化させた自治体の取り組みについてまとめた上で周知をするなど、これを行っているわけでございまして、まずは、こうした取り組みを徹底して里親委託の向上を促していきたいというふうに考えております。

 

○椎名委員 好取り組みとして、恐らく福岡だったり大分だったりという話だと思いますけれども、そういう情報を共有し、そして普及活動を行っていただくというのも、それもそのとおりだと思いますが、家庭的な環境の方が子供の愛着という観点で申しますと非常に影響が高いというふうにはよく言われているわけで、最後はやはり、自治体がそれをやりたいインセンティブを持つということになっていただかないといけないんだろうと思います。いずれ、エコノミクスの上でインセンティブを与えていくということも考えていただきたいなというふうに思います。
 今局長から御紹介いただきましたけれども、日本全国で、平成二十四年末で一四・八%というのが里親委託率ということです。数でいうと、委託児童数が約四千六百人ほどということになっておるかというふうに思います。そういう意味では、徐々に徐々にふえてはいるんです。これに対して、先ほどの諸外国の例と比較をすると、そんなに、まだ決して多くはない。これに対して、里親登録をしている人というのは日本全国で九千三百九十二世帯というふうに書かれておりまして、倍ほどはいるわけですね。
 里親登録の数を見ると、もう少し里親委託を進めていくことというのは数の上でも可能そうな気がするわけですけれども、なぜ里親委託というのが進んでいかないのか、要するにボトルネックと、それから、今後どうしていくか、どう改善していくかというところについて、大臣の御意見をいただければなというふうに思います。

 

○田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、平成二十四年度末現在でありますが、登録里親数九千三百九十二世帯、そして委託児童数が四千五百七十八人ですから、言われるとおり、半分ぐらいの数字しかマッチングされていない。
 これは、自治体等々を調査いたしますと、お聞きをいたしますと、まず、里親の希望と委託児童の条件が合わないということ、それから、実親ですね、実の親が拒否をされるということ、それから、最近、発達障害をお持ちのお子さんが多くなってきておりまして、里親委託に結びつけない、こういうような事情があるわけであります。
 では、これに対してどうしていくかという話でありますが、今局長からも話がありましたけれども、好事例集じゃありませんが、委託率の高い自治体、こういうところの事例等々をいろいろと周知していくということはあります。それからもう一つは、相談員を児童養護施設の方に配置しまして、いろいろな相談に乗っていくということ。
 さらには、里親の交流会ですね。こういうところで、困難事例等々、体験発表なんかをしていただきながら、これは実は、まだ里親を受けていない方々が入っていないので、そういう方々にも案内をしたらどうだという話を私も担当にしたんですけれども、そういうところで、ちょっと一歩踏み込めない里親希望の方々が、実際問題、ああ、そういうようなものにはこういうような形で対応していけばいいんだということを学ばれますと、一歩ハードルが越えられるということもありますので、そういうこともやっていく必要があるんじゃないのかなと思っております。
 平成二十七年から十五年間で、委託率、これを三分の一ということに考えておるわけでありまして、この三分の一に向かって、まだ一四・何%でありますけれども、努力してまいりたい、このように考えております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 三分の一というのは、今の現状からすると倍近くなので、かなりハードルは高いと思いますけれども、他方で、やはり国際的に見るとそこまで高くはないので、もっともっと頑張っていただきたいというのが私自身のお願いです。
 先ほど大臣おっしゃっていただきました、マッチングの問題というのがあるというふうに理解をしています。
 このマッチングの問題というのは、児童相談所が、この里親登録をしている人は信用できそうだな、ここなら任せてもいいかな、そういう人を探していくのが大変というのと、それから、里親の側でも、やれ何歳の、性別、男、女がいいとか、割と、結構要望がきつい、そういう二つの問題があるかなというふうに思いますが、特に前者の問題として、やはり、児相から見て信頼に足りる里親というのが余りにも少ないという問題が恐らくあるんだろうというふうに思っています。
 逆に、里親登録をして、一回里親を引き受けると、何度も何度も里親を引き受けてくれというような、里親を継続的に行っている家庭というのもあったりするわけですね。だから、児相がきちんと、里親のプールの中で誰が信用できて誰が信用できないかというところを割と慎重に見ているということがあるんだろうというふうに思います。
 当然、子供を預けることですから、慎重にやらなければならないのは恐らくそのとおりなんだというふうに思います。でもしかし、他方で、里親登録をするということは、里子を受けてもいいという意味なわけですね。やはり何かしらの理由があって里子を受けたいと思っているわけですから、そういう方々を活用しない手はないわけです。里親登録をしたけれども何の連絡もないと言っている人たちも、よく話を聞くわけですね。
 ですから、そうした人たちに継続的に児相からマッチングのための呼び出しをするなり、そしてトレーニングをするなりということで、一定程度、里親登録の中で、児相から見て信用できる里親登録をしている人たちのプールをふやしていかなければならないんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、マニュアル化をするなり、一定程度、登録した後にさらに継続的に研修をするなり、そういう形で、里親プールにいる人たちとそれから児相との関係を醸成していくということが必要ではなかろうかと思いますけれども、局長の御意見をいただければというふうに思います。

 

○石井政府参考人 里親と要保護児童とのマッチングにつきましては、里親委託ガイドラインの中でも示しているところでございまして、里親の年齢や実子の養育経験、これまでの受託経験など、里親の特性や力量について考慮することなどをお示ししております。
 これを踏まえて、児童相談所におきましては、児童養護施設等へ入所している児童を、例えば週末のみ里親に預ける取り組みを通じて、里親の養育力を高めるとともに、その特性や力量を把握するなどの取り組みを実施しているところでございます。恐らく、こうしたところの取り組みの結果だと思いますが、ここ十年間ほどで、登録里親に対する委託児童数、この割合は一〇%ポイントほど上昇もしているわけでございます。
 議員の御提案につきましては、なかなか、標準化まで行うかどうかはさておきまして、児童相談所におけるマッチングの方法に係る好事例等の収集、あるいは他の自治体への展開をしていくということは大変重要だと思っておりますので、どういった方法がふさわしいか、引き続き研究をしてまいりたいと思っております。

 

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 マッチングというのは、家庭と子供をつなぐので、本当に難しいんだろうというふうに思います。なので、慎重にやらなければならないとは思いますが、とはいえ、やはりこれだけ里親登録をしている人たちがいるというので、ぜひ活用していただきたいというふうに思います。
 他方で、民間にも、養子縁組だったり里親だったりをつなぐ団体というのが実はあったりします。こういう団体では、実は、むしろ、養子に出したい、または里子に出したいという子供の数の方が多くて、養親または里親になる人たちの数の方が少ないという事例もあったりするわけですね。
 まさに、児相ではなくて民間の団体こそが、そういった間隙を埋めるのに、割と比較的自由に動けるというところもあるんじゃないかというふうに思ったりはします。海外でも、諸外国でも、結構そういう民間のソーシャルビジネスを使って、里親と里子、それから養親と養子というところをつなぐというソーシャルビジネスなんかを活用している例なんかもあるやには聞いております。
 こういった、今児相が担っている役割を、より民間団体を活用していくということ、そういったことを検討したらいかがかと思いますけれども、御意見をいただければと思います。

 

○石井政府参考人 まず、厚生労働省では、里親委託ガイドラインにおいて、自治体に対して、行政措置に直接かかわらない、里親登録を受けてはいるけれどもまだ子供が委託されていない里親の意向などの把握や、あるいは、子供に合う里親候補の選定の事前調整などについて、児童相談所に専門の職員を配置して行うほか、あわせて、NPOなどの民間の里親支援機関に委託するなどして、積極的な推進を進めているところもございます。
 議員御指摘があったのは、恐らく英国の取り組みではないかと思うわけでございますが、こうしたガイドラインに基づく民間の里親支援機関の活用に際して大変参考になるものというふうには考えておりますので、今後研究を深めてまいりたいと思っております。

 

○椎名委員 時間もないので、大分飛ばします。
 養子縁組あっせんの話を伺いたいと思います。
 民間で養子縁組あっせんをすると、特に、新生児の養子縁組あっせんをしている業者というかNPO法人というのもあったりするわけですね。
 通告しているところでいうと八番というところですけれども、養子縁組あっせんのあり方について、厚生労働省の方でも、本格的な調査研究に、ことし、来年あたりで入るというふうに聞いております。これについては非常に喜ばしいことだというふうに思いますけれども、どういったことをやっていくのかというところについて、あわせて局長に伺いたいなと思います。

 

○石井政府参考人 養子縁組あっせんに係る調査研究でございますが、支援の質の向上を図るため、基本的な考え方や、基本的な支援方法などについて、本年度と来年度の二年間で明らかにすることを予定いたしております。
 調査研究の具体的な内容でございますけれども、まず、児童相談所や民間事業者における養子縁組あっせんの支援の実態を把握すること。そして、児童相談所と民間事業者の連携方法の好事例、これを収集する。そして、諸外国の実態、こういうことについて調査をいたしまして、その結果をもとにして、児童や実母、養親に必要な支援の内容や具体的な手法、そして児童相談所と民間事業者の連携のあり方などについて明らかにしたいと考えております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 養子縁組あっせんは、特に新生児、ゼロ歳ゼロカ月の虐待死を減らすに当たって非常に有効だというふうに思っています。
 さらには、今一年間で日本で生まれる子供の数というのは大体百万人ですけれども、年間行われている人工妊娠中絶件数は、その五分の一、二十万件ですね。母体保護法に基づいて行われているわけですけれども、この二十万件のうちのほぼ大半が、身体的または経済的な理由に基づき行われる中絶だというふうに言われております。
 いろいろな理由で中絶がなされているわけなので、必ずしも、望まない妊娠によって中絶をしたお子さんたちが全て生きていていただければなというふうに言うのは、それはおこがましいだろうというふうに思います。
 しかし、経済的な理由で育てられなくなったような子たちが、民間の養子縁組あっせん業者、または児相、こういったところを通じて、養子を望んでいる家庭とつながれることによって死なないで済むのであれば、これほどすばらしいことは恐らくないだろうというふうに思っています。
 この子ども虐待による死亡事例等検証結果第九次報告というのを見ると、平成二十五年だったと思いますが、ここでもゼロ歳ゼロカ月で虐待死をしている児童というのが大体十人ぐらい、十数名いるわけですね。こういったところに対して、やはり、児童相談所などが妊娠中の母親等に対して相談業務を行っていくとかしていかないといけないんだろうと思います。
 こういう虐待を防止していくための厚生労働省の取り組みについて教えてください。

 

○石井政府参考人 国が行っております児童虐待による死亡事例の検証においては、心中以外の虐待死事例はゼロ歳児が多くて、加害者は実母が多いということがわかっております。その背景には、妊婦健診未受診、あるいは望まない妊娠、若年、十代の妊娠といった問題が多いことから、これは妊娠期、周産期からの支援の必要性が提言をされているわけでございます。この提言を受けて、いかに支援につなげていくか、これが重要なんだろうと思っております。
 安全、安心に妊娠、出産できる環境づくりを図っていくための取り組みとして、妊娠期から適切な支援につなげていくということで、既に、平成二十二年からでございますが、通知におきまして、妊娠について悩む者が相談できる体制の充実と、相談できる機関についての周知の徹底を求めております。例えば女性健康支援センター事業などを行っておりまして、これは、今年度におきましては、全国統一の電話番号を設けるなど、相談支援の充実を図ることといたしております。
 そして、もちろん、市町村では母子健康手帳の交付という重要な機会がございます。あるいは、保健指導の機会、妊婦健診などの機会があるわけでございまして、こうした機会を活用して支援ニーズを把握して、適切な支援につなげていただいている、これが重要なんだろうと思っております。
 そして、出産後の養育について、出産前において支援を行うことが特に必要と把握した、そういう妊婦さん、特定妊婦というふうに呼んでおりますけれども、そういう方々については、児童相談所、市町村、医療機関などの関係機関によって構成される要保護児童対策地域協議会、ここで情報共有を行った上で必要な支援につなげていこう、こういう仕組みがあるわけでございます。
 こうした仕組みをうまく使いながら、妊娠などに悩みを抱える方が適切な支援を受けて、それで幼い命が失われることがないようにしていく、これが大変重要ではないかなというふうに思っております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 その地域協議会というのは、非常に、これからもっと活用していただきたいなというふうに思います。
 同じような取り組みで、いわゆる愛知方式というのがあろうかというふうに思います。新生児を産み落とす直前から、ずっと児童相談所の児童福祉司が、望まない妊娠をされた妊婦の方々とコミュニケーションをとりながら、最後、新生児産み落としと同時に養子縁組を行う、そういう取り組みだというふうに思います。非常に好事例だとして、厚生労働省からも好事例として紹介をしている事例ばかりだというふうに思います。
 やはり、こういった児相を通じた養子縁組あっせんというものを積極的にやっていかなきゃいけないだろうと思いますけれども、なかなか進まないんですね。それは何でなのか。実際進めていくのに障害となる事由というのを教えていただければなというふうに思います。

 

○石井政府参考人 委員御指摘のように、新生児の時期からの里親委託という観点で、この愛知方式は好事例という形で私ども紹介をいたしているところでございます。
 一方で、新生児の養子縁組あっせんを進める上での難しさについても問題が指摘されておりまして、やはり、出産前から心理的に不安定な実母に寄り添って、児童を養子縁組するか否かの意思決定を手助けしていく必要があるなど、これは相当丁寧に丁寧に、きめ細かな支援が必要になるわけでございまして、そういう意味では、支援側の労力が大きいといったような声があるということでございます。
 本年度から開始をいたしました調査研究におきましては、新生児の養子縁組あっせんを進めるに当たっての課題と対応などについても検討していくことといたしておりまして、こうした取り組みを進める中で、推進方策について明らかにしてそれに取り組んでいく、そういう形で進めていきたいと思っております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 児童相談所も役所ですから、法律上予定されている仕事以外の仕事を自発的にやっていくという、かなり、愛知方式は難しい部分もあるのかなというふうに思います。
 やはり、そういうところのフレキシビリティーがあるのが民間業者なんだろうというふうに思います。今、日本全国でも幾つか民間養子縁組あっせん業者というのがあって、いわゆる愛知方式と同じようなことを民間のNPO団体がお金を取ってやっています。
 しかし他方で、第二種社会福祉事業ということで、営利目的で活動すること自体は禁止をされています。しかし、中で働いている人たちは当然食っていかなきゃいけないのでお金を取らなきゃいけないということで、例えば、手数料、寄附金という形で百万、二百万というお金を取っています。こういうのを見かけた新聞とかが、子供の値段百万円とかセンセーショナルに報道し、こんなけしからぬことをやっていいのかみたいな論調でたたくことになるわけです。
 しかし、でも、子供を望む子供のいない親と、それから望まない妊娠で生まれてしまった子供、この子供をつなぐ役割の人間というのはやはり必要ですし、それを何とかして法規制、法律で明らかにして、ルール化していくことというのが必要だろうというふうに私自身は思っています。
 この間、五月の一日に指導という形でお出しいただいたかと思いますけれども、こういう行政通達ではなくて、やはり立法化していくことは最後、必要なのかなというふうに思います。
 最後に、大臣の御意見をいただければと思います。

 

○田村国務大臣 民間の養子縁組あっせん事業者に対して、今言われたとおり、五月の一日、局長通知という形で指導基準の見直しを出しました。
 これは、まさに事業運営の透明性の確保でありますとか、それから、児童や実親や養親の皆さんへの支援の質の向上、こういうようなことを見直しの基準の中に入れたわけでありますけれども、具体的には、今言われたみたいに、金品等々の徴収の言うなればルール化でありますとか、それから、もともと営利目的で事業運営をすることは禁止でありますとか、さらには、事業をやめるときにいろいろとある書類等々を都道府県に移すでありますとか、そういうことを書かせていただいたわけであります。
 今、法律、法制化という話がありました。これはまだ、指導基準の遵守状況がどういう状況であるか、それから、先ほど局長から話がありましたが、厚生労働科学研究でこの養子縁組あっせんの研究を今始めております、こういう結果を見て、それからいろいろと検討させていただきたい、このように考えております。

 

○椎名委員 ありがとうございます。
 ぜひ、検討の結果、これをルール化して、法整備をつくっていくことが大事だと僕も思っています。引き続きこの問題に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。

 

【HRWニュース】タジキスタン:ダム開発に伴う移住、生活を破壊2014/06/27 18:11

タジキスタン政府は、ダム開発のために1,500世帯以上、42,000人以上を移住させました。多くの人びとが移住によって職や電気等の生活のインフラを失った一方、政府は必要な支援を怠っています。

詳細はこちらをご覧ください。

【インターン募集中!】2014/06/27 18:52

HRW東京オフィスでは、今年の夏から来年の春までインターンをして頂ける方を募集しております(締切:7月21日)。

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