「墓石:中国の大飢饉」著者がHRW本部を訪問!!2013/05/28 06:24

HRWブログをごらんの皆様、こんにちは。NYからお届けしております。インターンの馬です。NYでのインターンも今週が最後となると思うと、本部オフィスを離れるのが名残惜しいです!!

さて、本日は、1958-62年におきた中国の大飢饉の実態を記録した「Tombstone: The Great Chinese Famine 1958-1962」の著者である楊継縄さんが来訪した際にお話してくださった内容を紹介したいと思います。
本部オフィスには、これまで法律家や研究員といったさまざまな方が職員を対象にレクチャーやショート・トークを行ってきましたが、中国からの専門家をお招きするのは珍しいことです。

「墓石」と名づけられた実録本を執筆した目的は、3千6百万人の犠牲者を出した1958-1962年の大飢饉の知られざる実態を暴くことで、悲劇の再発を防ぐためだそうです。

本書は、20年に渡る楊氏の調査に基づいており、データや資料等は公文書と農民へのインタビューから入手しました。飢えを耐え忍ぶことができず、死体を食べたり、更には墓石から掘り起こした死体を食べたりしたぞっとするような証言が赤裸々に綴られています。
中国政府は、今まで大飢饉を天災として扱ってきましたが、楊氏によれば、これは共産党による農業統治が招いた結果だそうです。党は、事実を隠蔽してきたため、もちろん中国大陸での著書の出版は禁止されています。しかし、香港という存在のおかげで、出版にいたり、そして大陸全域に海賊版が出回り、政府高官の間でも広く読まれているのだそうです。
本書のレビューがありますので、どうぞご一読ください。
http://www.nybooks.com/articles/archives/2012/nov/22/china-worse-you-ever-imagined/?pagination=false 

人類史を遡れば、どの国でも一度は何らかの過ちを犯したことがあります。
肝心なのは、政府が過ちを認め、過ちから得た教訓を通して国民に償うことではないのでしょうか。中国は、つい十数年前までは本当に貧しい国でした。
1990年代中旬になってようやく、一般家庭に電話が普及し始めました。
政治体制を維持したまま、経済改革を行ってきたため、貧富の差は増すばかりです。
変化にはまだ大分時間がかかりそうですが、必ず訪れるであろう変化に期待を寄せて、本日のブログを締めくくりたいと思います。