ガーナ:精神障がい者に対する人権侵害2013/03/04 00:32

こんにちは。インターンの馬です。

月曜日に、健康及び人権局の研究員であるメディさんのお話を聞いてきました!メディさんは過去18ヶ月間に渡り、ガーナの知的・精神障がい者に対する人権侵害の調査を行ってきました。


 耳を疑ったのは、ガーナでは、知的・精神障害を持つ人々は、家族や警察などに治療施設
(一般的に礼拝キャンプと呼ばれている)に送られ、治癒過程の一環として、34日間の絶食が強いられ、鎖によって木や施設内の壁に繋がれているのだそうです。なぜなのか!?ガーナでは、精神障害は、一般的に悪霊や悪魔にとりつかれたために起きるという認識があり、障がい者自身もそう思っています。キャンプでは、食事の不配給や薬の不投与、残忍で非人道的な身体的暴力などの人権侵害が確認されています。また、子供も大人同様に酷い扱いをされているそうです。


 メディさんは、実態調査に携わるべく、
HRWの調査員と共に8つの礼拝キャンプを訪れ、全169人、内精神障がい者93人をインタビューし、調査結果を84ページにわたる報告書「死刑判決のよう:ガーナでの精神障がい者に対する人権侵害」にまとめあげました。メディさんは法学大学院を卒業後HRWに加わり、普段は車椅子での移動を常としています。


 このように、研究員として自分が強く関心を持つ分野の問題を現地に赴いて徹底的に調査し、報告書という形で全世界に真実を公表、発信することは人権擁護に携わる者にとって輝かしい誉れであると私は考えます。

 

報告書に関する日本語のリリースがありますので、どうぞお読みになってみてください!

『ガーナ;精神障がい者への重大な人権侵害―球状改善に向けた措置 必要―』2012102


報告書全文をお読みになりたい方は以下のタイトルをクリックしてください。


Like a Death Sentence: Abuses against Persons with Mental Disabilities in Ghana October, 2012




セミナー「ブラッド・ダイヤモンドの秘密」を開催します2013/03/12 19:42

ヒューマン・ライツ・ウォッチが協力している企画です。ぜひご参加を!

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六本木ライブラリー×クーリエ・ジャポン コラボセミナー

私たちが知らないブラッド・ダイヤモンドの秘密
~作家・平野啓一郎氏がダイヤモンド採掘の真実に迫る~
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世の中に流通している美しいダイヤモンドの中に、紛争の資金源となっている「ブラッド・ダイヤモンド」が紛れていることをご存知ですか? アフリカ・ジンバブエでも近年、ダイヤモンド鉱山で200人もの労働者や住民が殺されるなど、いまも惨劇が繰り返されています。
ダイヤモンドを通じて、私たち日本人もアフリカの紛争とつながっているのです。
小説『ドーン』で東アフリカ戦争が日本を始めとした世界に影響を及ぼすことを鋭く指摘した作家の平野啓一郎氏。そして、ダイヤモンド鉱山をめぐる殺戮を告発を続けてきたジンバブエ人の人権活動家ファライ・マグウ氏。マグウ氏は独裁者として悪名高いムガベ大統領による逮捕にもかかわらず、真相究明を続けてきました。この対談では、自分の命を危険にさらしながらも告発を続けるマグウ氏の闘いに、平野氏が迫ります。

【日時・場所】
日時:2013年3月23日(土)13時~15時
場所:アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ・森タワー)

【スピーカー紹介】
ファライ・マグウ / Farai Maguwu
ジンバブエ自然資源管理センター所長。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員と協力して、ジンバブエ軍が行ったマランゲ・ダイヤモンド採掘場の住民に対する暴行、拷問、強制労働、殺害の実態を調査して取りまとめたが、2010年に虚偽情報の提供容疑で逮捕。拷問を受けた上、1ヵ月以上投獄された。この拘束事件を受け、国際社会はジンバブエ軍に対し、マランゲ鉱山から撤退するよう要求するにいたった。

平野啓一郎 / Hirano Keiichiro
小説家。京都大学法学部在学中の1998年、明治期の作家を思わせる文体を駆使した『日蝕』で鮮烈なデビューを果たし、翌年、第120回芥川賞を受賞。2005年に文化庁の文化交流使としてフランスに1年間滞在。2009年、『決壊』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。近著『私とは何か「個人」から「分人」へ』、『空白を満たしなさい』ほか、多数。

土井香苗 / Kanae Doi(司会)
国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表、弁護士。東京大学法学部卒。学生時代の1996年に司法試験に合格したあと、ボランティアとして1年間、エリトリア法務省で法律作りに携わる。2000年から弁護士として、日本の難民の法的支援などにかかわる。2006年に米ニューヨーク大学ロースクールの修士課程を修了(国際法)。ヒューマン・ライツ・ウォッチのニューヨーク本部フェローを経て、2008年より現職。著作に『巻き込む力』(小学館)ほか。

【締切】
3月17日(日)23:59

※応募者多数の場合は抽選になります。クーリエ・ジャポンの定期購読者が優待されます。当選者には3月18日(月)にクーリエよりご招待メールを送付されます。会場の詳細等はメールでご確認ください。

【応募方法】
参加希望の方は、こちらからお申し込みください。
https://eq.kds.jp/courrier/3093/

「六本木ライブラリー」についてはこちら:
http://www.academyhills.com/library/index.html

2013ディナーパーティー出席者2013/03/18 00:04


みなさま、こんにちは。インターンの馬です。

HRWの一大イベントであるディナー・パーティーが接近している中、

本日は、今年のディナーでお迎えするHRWからの出席者のご紹介です。


  まず一人目は、
HRWの最高責任者であるケネス・ロス

1993年より現職。ヒューマン・ライツ・ウォッチで勤務する以前は、1987年に首都ワシントンでのイラン・コントラ事件の検察官やニューヨーク州の連邦検察官の経歴を持つ。



  ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、フォーリン・アフェアーズ誌、インターナショナル・ヘラルドトリビューン紙などに掲載されたロス氏の論文・記事は、
100以上にのぼる。世界経済フォーラム(ダボス会議)など、世界中で行ったグローバルな人権問題に関するスピーチも多数にのぼる。

NYオフィスで、ケネスを数回見かけましたが、

このプロフィール写真よりも実際の本人の方が優しい雰囲気をかもし出しています。

とはいえ、やはり世界最大の人権団体をリードするだけの威厳も勿論お持ちでいらっしゃいます。

私は今でも、ケネスとすれ違うたびに緊張してしまいます。

ケネスの詳しい経歴や過去に発表した記事はこちらから。

http://www.hrw.org/node/114274



アフリカ局政策提言ディレクター:ティセケ・カサンバラ2013/03/19 00:09




二人目は、アフリカ局政策提言ディレクターであるティセケ・カサンバラさんです。(写真)

ティセケの専門分野は、国家による弾圧と暴力、国際司法(インターナショナル・ジャスティス)、健康と住居の権利などの経済的・社会的および文化的権利など

2004年からヒューマン・ライツ・ウォッチのジンバブエの調査員。暴力が吹き荒れた2008年のジンバブエ大統領選挙、2005年のジンバブエ議会選挙、そし2005年の70万人が被害を受けた大規模強制立退き事件などについて、調査・報告を行いました。


 ティセケのプロフィール及び
2010年スーダン選挙の際の民主化運動をまとめた調査レポートは以下からご覧いただけます。

http://www.hrw.org/ja/node/113759


ジンバブエ自然資源管理センター所長:ファライ・マグウ2013/03/20 00:14



 3人目は、現在ジンバブエ自然資源管理センターの所長を務めているファライ・マグウ氏です。



 マグウ氏は、マランゲ・ダイアモンド採掘場で起っている恐ろしい人権侵害
(無償労働、未成年に対する強制労働等)について徹底的な調査を行った勇気ある人権活動家であり、HRWの最高敬意であるアリソン・デ・フォージュ人権活動家賞を受賞されました。

マグウ氏はHRWの調査員たちと協力し、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF、現在の連立政権で連立与党のひとつ、国内の公安担当)の支配下にある軍が行ったマランゲの地元住民に対する暴行、拷問、強制労働、殺害を詳細に調査して取りまとめました

世界のダイアモンド取引を規制する国際機関「キンバリー・プロセス認証制度」の監視員とマグウ氏がマランゲ鉱山での人権問題について会談した直後の2010527日、マグウ氏は虚偽情報の提供容疑でジンバブエ政府により逮捕され、拷問を受けた上、1カ月以上も投獄されました。獄中で深刻な体調不良に苦しんだマグウ氏に対し、ジンバブエ当局は報復として治療を拒否。さらに、劣悪な環境の拘禁施設を違法に転々とさせました。氏は7月初旬になってようやく釈放され、全ての罪が晴れたのは10月になってからでした。



 人権活動家が政府の活動内容に反すると見なされた際に政府の標的になるのは、よくあることです。



 自らの命をも顧みずに、正義の実現に向けて果敢に立ち向かっていく人権活動家を支持し、彼らの勇気ある行動を称えるのは当然のことでしょう。


 マグウ氏の詳細プロフィールはこちらから。

http://www.hrw.org/ja/news/2012/08/11


 HRWリリース:血塗られたダイヤモンドの実態

http://www.hrw.org/ja/news/2010/05/21-0

HRW年次イベント2013/03/21 00:17

こんにちは。インターンの馬です。

   

 HRW本部があるNYでは、約二週間の間、アジア局と中東・北アフリカ局の合同研修、インドの女性の権利のためのファンド・レイジング・イベント、そしてHRW全スタッフが世界中からNYに一同に集まる年次会議が行われ、毎日がせわしく過ぎていきました。

この特別な時期にNYに居合わせられた私はとてもラッキーです!


 合同研修では、二局の今年度の課題と二局が担当する国や地域の現状に関連するトピック
(言論の自由や移住労働者等)に関する討論がされました。

年次会議では、一週間もの間、分野横断的な会議や研修、HRWの活動方針に関する全体会議等が行われ、HRWの規模の大きさを目の当たりにしました。


 写真は、コロンビア大学教授
Jeffrey Sachs氏を講師に招いた講演「次のミレニアム開発目標と環境変化における人的損失:人権問題とは何か」の模様です。

非常に興味深い内容の講演で、Sachs氏は主に現在の世界中の貧困状況とミレニアム開発目標が満期となる2015年以降のポスト2015目標に言及され、特に、世界で最も深刻な貧困地域である中央アフリカと南アジアの貧困解決の必要性を強調しておられました。

 
 

これが、本場の国際NGOの世界かぁ~、と何度も震撼させられた二週間でした!!

そして、NGOの影響が今後アジアや中東、アフリカ等の国々の政策決定にもっと強く反映されることを願います。それが、人権問題の解決策であるからです。