ニュースの深層 - 枯れ葉剤被害者が見たフクシマ ― 2011/08/24 19:52
こんにちは、インターンの鈴木です。
香苗さんが毎週水曜日を担当されている、「ニュースの深層」(8月24日)の収録に同席させて頂きました。今回のゲストは、第二世代枯れ葉剤被害者のヘザー・バウザーさんとヘザーさんのベトナム訪問を追ったドキュメンタリー「沈黙の春を生きて」の監督、坂田雅子さんでした。60年代から70年代に亘って、アメリカ軍がベトナム戦争で散布した枯れ葉剤の影響、それをテーマにした坂田監督のドキュメンタリー映画、そしてヘザーさんと坂田監督から見た福島原発事故について話を伺いました。

左からアシスタントの西谷祐紀子さん、香苗さん、ヘザーさん、坂田監督
ヘザーさんの父は、1968年に徴兵され、1969年までの1年間、ベトナムのビエンホア市にある米軍基地に配属されました。戦争中、ヘザーさんの父は(枯れ葉剤に因る)化学物質が漂う中を何の保護もなく戦うことを余儀なくされました。
そして、坂田監督がおっしゃったように、50年も前の政治的な判断が未だにヘザーさんのような被害者の方々を苦しめています。ヘザーさんは1972年に未熟児として生まれ、右足の膝下、手の指、左足の指、に障がいを持っています。言うまでもなく、ヘザーさんの家族も枯れ葉剤散布による身体的・心理的影響を生き抜いてきました。
枯れ葉剤散布は、ヘザーさんのようにベトナムで戦ったアメリカ軍人の家族の方々だけでなく、ベトナム市民にも多大な被害を及ぼしています。坂田監督の映画、「沈黙の春を生きて」は、ヘザーさんがベトナムにアメリカ人枯れ葉剤被害者として初めて渡り、そのようなベトナム人被害者の方々と交流していく姿を追っています。
何よりも憤慨すべき、そして私達が働きかけていかなければならないことは、アメリカ政府がヘザーさんのような枯れ葉剤被害者を「被害者」として認めていないことです。ヘザーさんがおっしゃったように、戦時中にこのように非道な決断をし、それによって今も苦しんでいる人々がいることをアメリカ政府はきちんと認知し責任をとるべきだと思います。
そして、この枯れ葉剤散布の被害は日本が直面している福島原発事故にも通じるものがあるとヘザーさんと坂田監督は指摘されました。今私達が選んだ道、下した決断が、どのように50年後・100年後の世界に住む人々に影響してくるのか、深く考えながら行動し、生きていかなければなりません。
さて、最後にヘザーさんのウェブサイトがこちらにありますので、みなさん是非訪れてみてください。坂田監督の映画、「沈黙の春を生きて」は、2011年9月24日~10月21日まで東京にある岩波ホールで上映されます。その後全国各地で上映されることになっていますので、ウェブサイトにある上映情報を参考にしてください。
ヘザーさんのような方々はアメリカ政府を動かす為にも、日本からそして世界からのサポートを必要としているので興味がある方は是非ウェブサイトや映画をご覧になってください。