資源大陸アフリカ・コンゴ --- 忘れられた世界最悪の紛争2010/05/10 15:05


こちらの写真。

 

 

 

たくさんの子どもたちの棺。アフリカのコンゴ民主共和国の東部です。資源大国コンゴ。

しかし、過去100年にわたり、貪欲な国際社会による搾取が続いています。

地元のひとたちは、裨益していないのです。

 

それどころか、第二次世界大戦以降、世界最悪の500万人以上の死者数を生み出し、今も、殺戮やレイプが続いています。

 

 

国連UNHCR職員として過去10年刊に4回アフリカ・コンゴに赴任された米川正子さん(当時の記事 )が、今月、待望のコンゴについての単行本を出版されます。日本語でコンゴについてしっかりとかかれた著書はほとんどないだけに、とても貴重です。

 

世界最悪の紛争「コンゴ」 単行本(ソフトカバー)

 

私も、早速予約。印税の一部は、コンゴ東部の人権問題を日本国内でもしっかり知らせていきたいという米川さんのお気持ちにより、私たちヒューマン・ライツ・ウォッチ東京事務所にご寄付いただけることとなっております。みなさまも、ぜひお手にとってください。

 

また、私がキャスターをつとめている朝日ニュースター「ニュースの深層」でも、近々、コンゴを取り上げたいと思っております。

 

HRWのコンゴ情報は、 日本語(ただ、翻訳できているのは英語の情報の一部です・・・) でもご覧いただけます。

 

ただ、この限られた日本語情報のなかでも、たとえば、最近の報告書のプレスリリース国連:コンゴ東部で大量の虐殺や強姦 止めるための行動を 」など、読んでいるだけでもなぜ人間がこんなに残虐になれるのか、本当につらいです。 このプレスリリースは、読んだひとから本当に大きな反響をいただきました。まだの方ぜひご覧くださいませ。



ビルマ写真展 明日から!2010/05/11 16:46

ビルマ写真展は、明日 5月12日 水曜日正午からです。@明治大学のアカデミーコモンビル1階です。御茶ノ水駅や神保町から近いです。地図こちら

くわしくはこちら

明大もウェブサイトに載せてくれました。ありがとうございました。明治大学のウェブサイトの5月12日の欄ご覧くださいませ

やっているのは、明大と慶応大の学生たち。彼女たちが、在日ビルマNGOにお願いして、なんと、オーダーメイドで「今」のビルマを撮ってるとのこと。と簡単に言いますが、これは命がけのこと。

大学生の熱い心をいきにかんじて、ビルマ人たちも協力してくれているんだろうなあ。自分たちの国の人権状況を少しでもよくしたい!という在日ビルマ人のひとたちの熱い思いも感じます。

ぜひ、みなさんもおいで下さい。明治大学では5月18日まで。その後、三田の慶応大学に移ります。

ビルマ写真展が明治大学ではじまりました!2010/05/12 18:13

こんばんは。土井香苗です。

待ちに待ったビルマ写真展が、本日ついに開催になりました!
今日から18日(火)までは、御茶ノ水の明治大学で開催です。
その後、20日(木)から26日(水)まで、日吉の慶応大学で開催します。
くわしくはこちら

初日の今日は、朝早くからインターンがオフィスに集合し、展示会の最終準備を行いました。写真の展示も、みなさまにより分かりやすくビルマの状況をお伝えできるよう、工夫しながら全て自分たちで行いました。そして正午に、めでたく写真展スタートとなりました!


開始早々、沢山の方が足を運んでくださり、ヒューマン・ライツ・ウォッチ一同大喜びです!

わたしも、ビルマについてとても詳しくなったインターンのみんなに、写真の説明をしてもらいました。



今週の土曜日15日の14時から16時には、在日ビルマ人の方を交えての交流会も行います(明治大学 リバティタワー 14階 1144教室)。ぜひご参加ください。

写真展会場にて皆様にお目にかかれますのをとても楽しみにしております!

明日(金)の毎日新聞朝刊にミラシナさん記事が掲載決定!2010/05/13 08:57

おはようございます。土井香苗です。

先月来日した、ロシア ノーバヤ・ガゼータ紙の記者、エレナ・ミラシナさんのインタビュー記事が、明日(金)の毎日新聞朝刊の第2国際面「アングル」に掲載されることとなりました。みなさま、明日はぜひ毎日新聞で一日をスタートさせて頂ければ幸いです!

この記事を書いて下さったのは、毎日新聞の杉尾直哉記者です。エレナさんの来日中(4月17日)に明治大学で開催したシンポジウムにも、パネリストとして参加して頂いた杉尾記者は、モスクワでのご経験も長い、日本が誇るロシア通の記者さん。

こちらがシンポジウムでのパネルディスカッションの様子。右から2番目が杉尾記者で、左から2番目の後姿がエレナさん、そして1番左がわたしです。


エレナさんは、今月アメリカでのフェローシップを終え、ロシアに戻って報道を続けられる予定です。自分の身に危険が及ぶことは分かっていても、「黙っていては何も変わらない」と勇敢に真実を世界に伝えるエレナさんの気持ちを、同じ記者として、一番良く理解していただいているのは、杉尾記者なのではないでしょうか。

そんな杉尾さんが執筆して下さった今回の記事「危険が及ぶ権力批判」。明日の朝、1人でも多くの方に読んでいただき、遠いロシアで今日も人権を守るため戦っているエレナさんを応援していただけましたら、とても嬉しく思います。

エレナさんへのインタビューの様子は、以前にブログのインターン日記などでも紹介させて頂いたので、ぜひご覧ください:
http://hrw.asablo.jp/blog/2010/04/27/
http://hrw.asablo.jp/blog/2010/04/29/

土井香苗がエリトリアについて語るWorldInvestors.TV ただ今無料公開中!2010/05/18 05:08

NYオフィスの金子です。さて、皆さんの多くは、土井香苗さんがHRW日本代表になるに至った道程について、各メディアのインタビュー記事ですでにご存知かもしれません。

司法試験に当時最年少で合格した直後、ピースポート活動の一環として、法律制定ボランティアに行ったのが、アフリカ北東部にあるエリトリアという小国。今回オンラインで世界の投資・経済トークを展開するWorldInvestors.TV with Travel Cafe「芋洗坂トーク」にゲストとして登場、あまり人びとに知られていない同国の実態について、ホストの石田和靖さんを相手に語っています。


タイトルは、「エリトリア~北朝鮮より報道の自由がない国~」と、かなり衝撃的なもの。厳しい徴兵制度によって、国家ぐるみの強制労働が行われているエリトリアは、「まるで国全体が国境という塀に囲まれた刑務所のよう」とさえ言われています。

と、かなり深刻な内容とはいえ、ちょっとした土井さんの「小ボケ」連発、石田&土井コンビの「へえポイント」連発の15分ですので、ぜひご覧ください!(上のタイトルをクリックするとご覧になれます)。無料公開は今週の木曜日までです。

人権ウォッチャーの皆さんのみならず、アフリカにおけるリスク・ファクターについての話にも言及しているので、投資家の方々も必見です。


セネガル -- 放課後活動 は路上の 物乞い(その1)2010/05/21 17:34

タイトルを見て、「ああ、アフリカの貧しい子供たちの話だな」と思った方も多いかもしれません。今回から3回に分けてご紹介するフォト・ストーリーは、アフリカ大陸の西にある、セネガルの少年たちの日常です。

フランスの植民地だったセネガルは、現在は大多数がイスラム教徒の国です。ほとんどが12歳以下の少年たちが何万人も、寄宿型のコーラン学校(ダーラ)で生活をしています。

両親は、子供たちが日々イスラムの教えを学んでいると思っている(またはそう考えるようにしている)一方で、少年たちはコーラン学校の教官(マラブー)に路上で物乞いを強制され、日々虐待されている--それが今回ご紹介するお話です。タイトルから思い浮かぶであろう、発展途上国のストリートチルドレンのお話とは、実はちょっと違います

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                                                                             (c) 2008 Thomas Lekfeldt
これは、セネガルの首都ダカール(パリ-ダカール・ラリーのダカールです)でタクシーの運転手にお金を乞う3人の少年たち。トマトの缶をそれぞれが持って、お金や米、砂糖を集めて、コーラン学校の教官に持ち帰るのです。ノルマを果たせないと、待っているのは殴る蹴るの虐待…。

その実態は、4月15日にヒューマン・ライツ・ウォッチが発表した報告書「子供たちの搾取をやめよ:セネガルにおける強制物乞いと虐待の実態」(全114ページ、英語)に詳しいので、ぜひお読みください。

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                                                                             (c) 2008 Thomas Lekfeldt
物乞いに向かう途中の少年グループ。彼らは平均して、一日7時間も路上で物乞いをさせられています。タイトルは「放課後」となっていますが、本当は放課後活動どころか、フルタイム活動なのです。HRWの報告書によると、ほとんどの人が一日2ドル以下で生活しているセネガルで、子供を搾取しているコーラン学校の教官たちは、一年になんと2万ドルから6万ドルを荒稼ぎするといいます。中には奴隷のように少年たちをこき使った結果、一年で10万ドルを稼ぐ教官もいると聞けば、出る言葉もありません。

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                                                                             (c) 2008 Thomas Lekfeldt
交通の激しい路上や交差点が、少年たちの校庭です。人や車の多い場所に行けば行くほど、ノルマ達成の確立は高まるからです。常に交通事故やその他の危険と隣り合わせの課外活動--こんなことが許されていいはずはないのですが、政府もこの現状に全く見て見ぬふりです。少年の足元を見てください…裸足です。HRWが聞き取り調査をした少年のうち、40%以上は一足のくつも持っていませんでした。

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                                                                                (c) 2010 Ricci Shryock
ダカールにあるモスクの外で、施しのチャンスをうかがうたくさんの少年たち。HRWの報告書内で証言をしている11歳の少年(7歳のときに両親にダカールのコーラン学校に送られた)に課された一日のノルマは、600CFA(約1ドル30セント)と米、砂糖。
「言われたとおりに持ち帰れなかった日は、電気コードで教官に背中や首を打たれた。数え切れないくらいぶたれる間、いつも一度も僕に手をあげたことのない家族のことを考え続けたんだ。家にいたころのことを思い出そうと必死で」

「宗教と道徳の教育」を隠れみのにした、セネガルの少年たちに対する残酷な搾取。奴隷のように扱われ、路上を日々さまよう彼らの姿を、次回も引き続きご紹介していきたいと思います。

「アフリカのキムジョンイル」ともいわれる独裁者をたたえる人権賞!?2010/05/21 17:51

 

こういう賞があるのか知りませんが、あれば納得できます。

 

でも、「金正日(キムジョンイル)人権賞」、「ジョージブッシュ人権賞」、などがあったらブラックユーモアのようですよね。しかも、その賞を大真面目に国連が授与しようとしているのだったら、どうしますか?しかも、その事務局のトップが、日本人の外交官だったとなったら・・・

 

実は、これ、ウソのような本当の話で、賞の授与は来月予定されているのです。

 

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が、人権侵害と腐敗にまみれた西アフリカの独裁者 西アフリカは赤道ギニアの「オビアン大統領」を讃えた賞を授与しようとしています。

 

人権、教育、そして基本的自由の促進を謳うユネスコ憲章との整合性はどうなるんでしょうか・・・?

 

その名も、「人類の生活の質を向上させる科学的功績」を表彰するユネスコの「オビアン賞」。

 

でも、彼は、1979年の武力クーデターで権力の座につき、以来、権力の座につき続けている人物。

 

サハラ以南で第四の産油量を誇る赤道ギニアは、一人当たりの国内総生産(GDP)は韓国と並び、日本に迫る勢いの国です。どれだけ国民は豊かかというと・・・実は、水道さえない貧困ライン以下の生活を送る国民が、全人口50万人の75%以上。冨は、オビアン大統領に近いごく一部の人たちが独占しているわけです。

 

オビアン大統領は、有り余るほどの冨を手にしながら、国民の「生活の質を向上」は全く無視です。

 

彼は貧困の元凶であるだけではなりません。人権も侵害しています。

 

警察による野党勢力の弾圧や恣意的拘禁や拷問が横行している、と国連の人権専門家たち。表現の自由の弾圧や、経済的権利や社会的権利の無視も批判の的です。

 

しかも、オビアン大統領は、汚職でも悪名高い人物です。このユネスコ賞のための3億円もオビアン大統領が出したのですが、この3億円は、オビアン大統領の名誉のためではなくて、赤道ギニア国民の食料や水や医療のために使われるべきではないでしょうか?ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体は、この3億円の資金源を調査するように求めていましたが、結局いままで調査はされないまま。

 

国際人権団体や赤道ギニアの人権活動家たちが激しく抗議していますが、ユネスコは、初のオビアン賞を6月末に授与すると発表しています。ちなみに、この賞を取り消す権限を持っているのは、ユネスコの執行理事会。日本政府は、その副議長です。ヒューマンライツウォッチは、ユネスコはもちろん、日本政府にも要請をしてきましたが、日本政府からは回答はありません。

 

また、ユネスコ執行委員会で「オビアン賞」の設立が決まった08年当時のユネスコの事務局長は日本の外交官の松浦晃一郎氏でした。

 

赤道ギニアで水もない、教育も受けられない、自由にものもいえない、政治犯として投獄されている・・・と苦しむ赤道ギニアの人びとの顔にどろを塗るような賞を、国連は早く取りやめるべきではないでしょうか。

 

ユネスコの名誉をまもるため、日本の名誉を守るためにも、「オビアン賞」の撤回が急務です。

 

赤道ギニアでの石油と人権侵害の詳細については、こちらhttp://www.hrw.org/en/reports/2009/07/09/well-oiled-0)の報告書(英語)をご覧ください。

 

 

 

湯川秀樹物理学賞、アウンサンスーチー人権賞。

ビルマ写真展~慶應交流会開催!2010/05/22 02:00

こんにちは!インターンの黒田です。
写真展も今週木曜日から慶應日吉キャンパスに移り、昨日同キャンパスにてビルマ人と学生との交流会を開催いたしました。

すでに何度もビルマを訪れたことのある学生、今年行くという学生、関心領域も異なる色々な方にお越しいただきました。聞きたいことを直接ビルマの方に聞けるという絶好のチャンス!「日本で報道されている様子は本当の姿なの?」、「日本の学生には何ができるの?」などの質問が飛び交いました。
余談ですが、皆様ビルマの恋愛事情はご存知でしょうか?日本ではメールが欠かせないツールとなっておりますが、なんとビルマの大学生は男性が女性の寮の外で、ギターを弾きながら愛を訴えるというのです。ロマンチックですね!
さて、交流会逃してしまっても写真展自体は来週水曜日、26日の午前中まで開催しておりますので、どうぞお立ち寄りください。もっと詳しく話が聞きたいという方は、hrwtokyo_i@yahoo.co.jpにご連絡下さい。


セネガル―放課後活動は路上の物乞い(その2)2010/05/25 23:46

前回に引き続き、シリーズ第2回の今回も、セネガルで「宗教と道徳の教育」を隠れみのにした、コーラン学校に寄宿する少年たちに対する残酷な搾取についてお届けします。

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                                                                                (c) 2010 Ricci Shryock
難民キャンプさながらの写真は、ダラと呼ばれる寄宿型コーラン学校の様子です。セネガルの首都ダカール郊外にあるこの学校も例外ではなく、多くの少年たちが施設が間に合わずに外で寝ることを強制されています。冬の夜はセネガルでもかなり寒くなりますが、屋外で最低限の毛布しか与えられません。

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                                                                                             (c) AP Photo
コーラン学校の教官にひどく殴られて、首から背中に痛々しい傷を負った7歳の少年。カオラックにある病院で、親戚にうちわであおいでもらっているところです。

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                                                                             (c) 2008 Thomas Lekfeldt
これはなんと、ある寄宿型コーラン学校の教室の様子です。政府援助のある「近代的ダーラ(コーラン学校)」では、コーランの教えと共に通常の学校カリキュラムも教えますが、それはごく少数に過ぎません。

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                                                                                (c) 2010 Ricci Shryock
二つの手をよく見てみてください。ノルマ達成を助けるために、店で働く女性が角砂糖を一つ、少年に渡しているところです。砂糖を受け取る少年の手は、明らかに皮膚病に侵されています。これもコーラン学校が、いかに最低限の医療ケアさえ提供していないか、の生きた証拠です。

次回の第3回がシリーズ最終回です。引き続きセネガルのコーラン学校に寄宿する少年たちの校内と路上の日常をお届けします。

※報告書「子供たちの搾取をやめよ:セネガルにおける強制物乞いと虐待の実態」(全114ページ、英語)
※もっとアフリカについて知りたい方はこちらからHRWのリリースをお読みになれます。

NY本部でDevelopment部のミーティングに参加中です!2010/05/26 21:03

こんにちは、土井香苗と吉岡利代です。

今週私たちは、ヒューマン・ライツ・ウォッチの本部で開催されるDevelopment部のミーティングに参加のため、ニューヨークに来ております!

Development部とは、HRWで寄付集めを担当する部署です。HRWは、世界中に約290名ほどのスタッフがいますが、そのうち53名(約20%)がDevelopment部に所属しています(ただし、私たちのように、他の部署に所属しつつdevelopment部にも所属する人も含めます) 。

今回のミーティングにも、ロサンゼルス、トロント、シカゴ、ベルリン、パリ、ロンドン、ベイルートなどなど、色々なオフィスから寄付集めを担当している同僚たちが参加しています。

初日の昨日は、HRW本部の会議室にみんなで集まって、HRWの現状や、これからの戦略などを話し合いました!今まではメールでのやりとりしかなかった同僚たちの、顔と名前が一致するのはやはりとても嬉しいですね。

昨日の話の中で驚いたのは、HRWの資金のうち、35%がアメリカ以外で集められた寄付だということ。東京でサポートしてくださっている皆様からのご寄付も、このなかの大きな割合を占めています。

東京で支えて下さっている一人一人の温かいお気持ちにより、HRWが世界中で人権をまもる活動を行うことができているのを、改めて確認した一日でした。いつも本当にありがとうございます。

二日目の今日は、朝からバスで海の近くまで移動して、ミーティングの続きを行う予定です。その様子もまたブログでご報告いたしますので、どうぞお楽しみに!