セネガル―放課後活動は路上の物乞い(最終回)2010/06/09 04:03

全3回のフォト・ジャーナルも今回が最終回です。今回も引き続き、セネガルの路上でなぜこんなにも多くの少年たちが物乞いをしているのかについて、そして彼らの日常がどんなものであるのかについて、お届けします。

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                                                                                    (c) Thomas Lekfeldt
写真は、寄宿型のコーラン学校の少年たちの一人が露店で買ったお粥を、みんなで分け合って食べている様子です。教官から物乞いを強制されて、毎日のようにお金や米、砂糖を持ち帰っても、それらはすべて取り上げられてしまいます。彼らが教官やその家族たちを養っている、というのが現実なのです。その上、自分たちの食料も同じようにして物乞いをしたり、自分で買わなくてはなりません。当然、ほとんどが栄養失調状態です。

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                                                                               (c) 2006 Roy Burroughs
シリーズ第2回では、施設が足りずに屋外に寝泊りさせられている少年たちをご紹介しました。この写真の少年たちは運よく屋内に寝ることができていますが、ごく小さな部屋に30人もが押し込められている状態です。うすいマットを直接床に敷いただけの環境で、身を寄せ合って眠ります。当然、皮膚病、マラリア、寄生虫といった病気があっという間に蔓延。ところが、ひとたび病気になると、自らの薬代を稼ぐためと、更に長時間の物乞いを強制されるといいます。

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                                                                                      (c) 2008 AP Photo
写真は、ダーラ(コーラン学校)から親戚に助け出された5人の少年たちが、治安判事に養育権を学校から取り戻す手続きをしてもらっているところです。毎年何百人もの少年たちが虐待と搾取から自由になろうと、学校を逃げ出します。

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                                                                                       (c) Ricci Shryock
ダカールのガソリンスタンド周辺で、夜間に物乞いをする少年たち。ノルマを達成しないで学校に戻ると、教官たちからひどい虐待を受けることを恐れて、少年たちはしばしば、夜更けになっても物乞いを続けます。

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                                                                                (c) 2010 Ricci Shryock
ダカール郊外にあるダーラのコンクリートの床に座る少年。彼が寝食を仲間と共にするスペースです。後ろに見える小さなリュックに、それぞれの少年のすべての所持品が納められています。

全3回シリーズでお届けした、セネガルの少年たちのフォト・ストーリー、いかがでしたか?「しっかりとコーランの教えを学んでほしい」と子どもをコーラン学校に送る両親たちは、通常決して裕福ではありません。結果として、子どもたちを精神的にも物質的にもサポートするのが難しい状況にあります。教官たちが虐待や搾取をうまく隠すことで、真実を知らない両親もいれば、真実は知りながら、経済的な理由で子どもたちをダラに送る、または送り返す両親もいます。

セネガル政府は2005年に、個人財産を増やすために他者に物乞いを強制することを禁ずる法令を施行しています。にもかかわらず、なぜこのような悲惨な状況が続いているのか?答えは一つではありませんが、この法令に基づいてこれまでただ一人の教官も起訴されていないという事実が、理由の一つであることは間違いありません。少年たちへの搾取と虐待に対する不処罰が、白昼堂々とまかり通っているわけです。本来人を救うものであるはずの宗教の教えを隠れみのにした人権侵害…今後も引き続き、これに関するHRWの活動にご注目ください!

※報告書「子供たちの搾取をやめよ:セネガルにおける強制物乞いと虐待の実態」(全114ページ、英語)
※もっとアフリカについて知りたい方はこちらからHRWのリリースをお読みになれます。

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