ウズベキスタン――アジア開発銀行NGOフォーラムが、タシケントで行われるアジア開発銀行年次総会をボイコット2010/05/01 22:36



インターンの湯村です。ウズベキスタンの人権に関するニュースをお伝えします!


アジア開発銀行
NGOフォーラム(NGO Forum on ADBが、ウズベキスタンの首都タシケントで行われるアジア開発銀行(Asian Development Bank)の第43年次総会をボイコットすると4月28日に発表しました。ウズベキスタンでは政治的権利が制限されており、政府を批判することも許されておらず、時には武力によってそれらが抑えられることがあるような国であるため、という理由からです。

アジア開発銀行NGOフォーラムは、250の市民社会団体から成り、アジア開発銀行をモニターするネットワークです。このアジア開発銀行NGOフォーラムが、ウズベキスタンでは深刻な人権侵害があるにも関わらず、アジア開発銀行が総会をそこで開くことへの批判を表したのです。

実は、今回批判を浴びたアジア開発銀行と日本は深い関わりを持っています。日本はアメリカと並ぶ最大出資国であり、アジア開発銀行の歴代総裁は全て日本人です。
また、日本政府はウズベキスタンにODAを通しての援助もしています。

では、ウズベキスタンでは、どのような人権侵害が起こっているのでしょうか?(World Report


ウズベキスタンは独裁政権です。

人権活動家、反政府者、ジャーナリスト、芸術家たちに対する政府の抑圧が横行しています。不当に逮捕されたり、脅迫や虐待を受けたりしています。また、勾留中の虐待は、法律で違法とされているにもかかわらず、未だに続いています。


信条の自由や表現の自由が制限されています。

憲法で信条の自由は保障されています。しかし、現実には、政府の管理下にない宗教団体、特にイスラム系が弾圧されています。


アンディジャン大虐殺の責任は今も問われていません。

2005
5月、武装勢力の襲撃に端を発した反政府抗議運動を鎮圧するため、数百人の民間人がアンディジャンで虐殺されました。政府は、この事件の調査をすることを拒否し、逆に、この事件に関わった人々やその家族を弾圧し続けています。


児童労働が行われています。

何百、何千もの子どもたちが、強制的に綿花農園での労働をさせられています。不衛生な環境での生活であり、学校にも行けず、一日中働きますが、対価はほとんど手に入りません。


最近では……


2010
年1月、写真家ウミダ・アーメドワ氏が、ウズベキスタンの人々の暮らし(性差に基づく不平等に焦点をあてたものなど)の作品を外国で発表したことで起訴されました。ウズベキスタンの人々を批判的に描いているとされ、国民に対する名誉毀損と侮辱罪に問われています。(ニュースリリース、ブログ連載1回2回3回


2009
年7月、政府の批判をしただけでユスフ・ジュマエフ氏は刑務所に送られ、拘束中に虐待を受けました。やけどをさせられたり、トイレの使用を許されなかったり、食料と水を与えられなかったりしました。(ニュースリリース


日本と関わりがある国とはいえ、ウズベキスタンについての情報はなかなか伝えられていないのではないでしょうか。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これからも、ウズベキスタンの現状を調査し、世界に伝えて行きます。


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