タイ――外国人出稼ぎ労働者たちの日常(その2)2010/04/08 11:29

今回も前回に引き続き、タイで働く外国人労働者の実態を、写真でご紹介していきたいと思います。

タイには100万人以上が、国外から出稼ぎに来ています。彼らの立場は大変弱く、その日常は殺人、恐喝、労働権侵害などの危険に満ちています。

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ビルマからタイ国境を越えるのに、一番楽な方法は、写真のようにモエイ川を歩いて渡ること。わずか500メートルほど川上には、タイ=ビルマ間を結ぶ友好橋が架かっていますが、自国の政情不安や貧困を背景に、より安価で簡単な不法入国をするビルマ人は後を絶ちません。

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これは、モエ川(タイのマエソト付近)をボートでビルマから越境してくる人びとの様子。
(c)2009 Human Rights Watch

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マエソトの検問でビルマ人男性を職務質問する警官。ビルマ人の出稼ぎ労働者は、多くのタイ警官が、何らかの見逃しと引き換えの恐喝にかかわっていると主張しています。
(c)2006 Nic Dunlop/Panos Pictures

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写真はチェンマイ付近の仕事場で抜き打ち検査を受け、タイ移民局係員に書類をチェックされているビルマ人の出稼ぎ労働者の様子。
(c)2008 John Hulme

出稼ぎ外国人労働者は警察に捕まると、釈放と引き換えに警官から現金や貴重品を要求されることが常となっていて、一回の恐喝で1~7カ月分の稼ぎを失うことも珍しくありません。

ヒューマン・ライツ・ウォッチもリリース「タイ:出稼ぎの外国人労働者が殺人、恐喝、労働権侵害に直面」(http://www.hrw.org/ja/news/2010/02/23-3)の中で、「関係当局者や警官の多くは、外国人労働者を歩くATMさながらに扱っており、それは外国人労働者の搾取と虐待のシステムに他ならない」と批判しました。

次回の(その3)に続きます…

関連のヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書「トラから逃れてもワニが待っている:タイにおける外国人労働者の搾取と虐待の実態」(124ページ、英語)はこちらから!
http://www.hrw.org/node/88619