国連ピレイ人権高等弁務官 調査委員会(COI)設立を求める プレスリリースが出されました!2013/01/15 23:25

みなさま、こんにちは。

先週木曜日、金曜日と、HRW ジュネーブアドボカシーディレクターのジュリー・デ・リベロが来日していました。

来日の目的は、北朝鮮について国連調査委員会(COI)設立の文言を、2月下旬から始まる、国連人権理事会の決議文書に盛り込むよう、日本政府に求めるためでした。

2日間と短い日程でしたが、みっちりと濃いスケジュールを終えジュリーが帰国した後、うれしいニュースが舞い込んできました!

ピレイ国連人権高等弁務官が、北朝鮮に関して調査委員会(COI)設立を求める声明を日本時間1月14日付けで発表しました。
この声明については、日本ではもちろん、ロイターやAP通信など世界の主要メディアで報道されています。

国連で発表された声明をHRWで日本語訳致しましたので、皆様どうぞご覧ください!!
(英語オリジナルはこちら

今年の人権理事会で、調査委員会設立が決定されますように、、、勝負の残り1、2週間、私たちも精一杯頑張りたいと思います。

 

国連人権高等弁務官ピレイ氏 北朝鮮国内の人権侵害への更なる注目と国際調査を強く要求

 

(ジュネーブ、114日)-ピレイ国連人権高等弁務官は月曜日、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK、以下北朝鮮)の人びとの「嘆かわしい(deplorable)」人権状況に対する取り組みについて更なる努力をするよう国際社会に呼びかけると共に、同国内で何十年にもわたり続いている深刻な罪に関し、今こそ徹底的な国際調査を行うべきだと述べた。

 

「新たな指導者の誕生が、北朝鮮国内の人権状況に前向きな変化もたらすかもしれない、という期待が当初あった。しかし、金正恩が最高指導者となり1年が経過したが、人権状況の改善の兆しはほとんどみられない」とピレイ氏は述べる。

 

「国際的レベルでは、ほぼ北朝鮮の核開発とミサイル発射のみに注目が集まっていることにも懸念を抱いている。これらはもちろん非常に重要な問題だが、あらゆる形で殆ど国民全体に影響を及ぼし、世界に類を見ない北朝鮮国内の嘆かわしい人権状況の影を薄めてしまうようなことがあってはならない」と話す。

 

昨年12月ピレイ人権高等弁務官は、20万人以上の人びとを収容していると考えられる、国内に張り巡らされた政治犯収容所から逃れた生存者2人と面会した。「彼らの体験談は非常に悲惨だった」とピレイ氏は語る。「国際人権保護基準とは完全に正反対である制度について彼らは語ってくれた。私たちはこうした収容所について殆ど何も知らず、分かっている情報は、同国から何とか逃げ出した数少ない難民によるものが多い。高度に発達した国際人権保護制度は、世界中のほぼ全ての国に少なくとも何らかの良い影響を与えてきた。しかし、北朝鮮は完全に無視されているようであり、自ら孤立を選んだ同国では、21世紀では考えられないほど深刻に政府が自国民を虐げることが可能なままである。」

 

「収容所制度は、反対意見を表明するというような、合法的で平和的に活動した個人を罰するだけではなく、『人道に対する罪』に相当する可能性のある、拷問その他残酷で非人道的な処遇、即決処刑、レイプ、奴隷労働、集団処罰を含む、まん延した人権侵害を伴うものだ。収容所内の生活環境は非人道的で、食糧供給は全面的に不足し、医療ケアはほぼ或いは全く受けられず、衣服も不十分である。ある母親は、出産した赤ん坊を枯葉に包み、その後古い靴下で毛布を編まなければならなかった、と私に語ってくれた。」

 

ピレイ氏は、収容所で生まれ、そこで23年間過ごし、拷問され強制労働に従事させられたばかりでなく、14歳の時に母親と兄の公開処刑まで見させられた男性に会った時の話に言及し、次のように述べた。

 

「死刑は多くの場合、比較的軽い犯罪に対して、しかも完全に不適切な司法手続きを経て、そして時には司法手続きを全く経ないまま適用されるようだ。逃げようとして捕えられたり、或いは見つかって送り返された人びとは、処刑・拷問・隔離拘禁などの恐ろしい報復を、多くの場合近親者も含めた家族全体で被ることになる。」

 

ピレイ高等弁務官は過去に、北朝鮮工作員により長年にわたり(特に1970年代と1980年代)拉致され、今も消息の分からない日本人の家族とも面会している。

 

「長年にわたり北朝鮮により拉致された多くの韓国人と日本人はもちろん、朝鮮戦争の際に韓国内で捕えられ北朝鮮に連れ去られた無数の一般市民の消息を明らかにし、真実と、長い間苦しみ続けてきた家族に対する法の正義と救済を追求する緊急の必要性がある」とピレイ高等弁務官は述べた。

 

「戦争から60年が経つが、戦いにより南北に分断された何万もの家族の惨状も、ほとんど未解決のままだ。」

 

「我々は、脱出に成功した人から聞く恐ろしいシステムの一端しか垣間見れていない。しかし、我々が把握している事実は、国際社会が行動を起こすためには十分である。よって、今こそ国際社会は真実を明らかにし、窮地に立たされ、虐げられている2,000万人の国民に変化をもたらす強い圧力をかけるため、さらに断固とした措置をとる必要があると考える。」

 

国連人権理事会と国連総会の双方が、組織的な人権侵害を行なっている北朝鮮政府を非難する強固な決議を投票なしで採択したことを指摘し、ピレイ高等弁務官は、今こそ更に強力な手段をとる時であり、独立した国際調査団の設立により、極めて重要な第一歩を踏み出すことができると指摘した。

 

「これまで長年の間、北朝鮮政府は、人権理事会に任命された歴代の『北朝鮮の人権状況に関する国連特別報告者』や人権高等弁務官事務所に協力することを一貫して拒否して来た。この事実に加え、重大な事態が恒久的に続いている現状を鑑み、世界で最悪の人権状況の1つでありながら、殆ど理解されておらず、報道もされることがない、同国について徹底的な調査を行うことは完全に正当化されるのみならず、長年待ち望まれてきたことと考える」とピレイ高等弁務官は述べた。



コメント

トラックバック