NY&Boston レポートvol.8 ハーバード大学アジアローソサイエティへ2012/04/09 23:51

HRWの活動の一つに人権侵害の事実を調査し、国際法に適用して政府に政策提言をしていく、という活動があります。ハーバード大学ロースクール人権クリニックでは同様の取り組みが行われ、国連文書を分析したCrimes in Burmaは国際社会に大きな影響を与えました。
 私たちはそのような活動をするロースクールの実際を拝見したいと、ロースクールを訪れることにしました。今回は人権クリニックではなく、アジアローソサイエティというコミュニティを尋ねました。

  以下参加者の呉さんのレポートです。

  アメリカ合衆国に着いて三日目である16日。今日は待ちに待ったHarvard大学のロースクール生との交流会があった。Julienne Ebyさんは今回の交流会を開催するにあたり、ずっと連絡を取り続けた方で多大な協力をして頂いたが、彼女ともう一人の日本語が堪能なロースクール生と18時頃に夕食を共にした後、ハーバード大学内のロースクールの敷地を案内してもらった。それからHarvard Asia Law Society(以下HALS)の学生と会い、十九時半過ぎから交流会が始まった。

交流会の初めにこのツアーのメンバーであり、HRW日本のインターンである大澤祥子からHRWと本ツアーに関して説明をしてもらった。その次に、HALSの運営メンバーの二人からHALSの活動についてプレゼンテーションがあった。

 HALS
はアジアに興味を持っているロースクール生から成り立っている学生組織であり、その興味分野はアジアの文化、法律、ビジネス等多岐に渡るという。中には日本での滞在経験がある人や日本語を学んでいる方、アジア諸国からの留学生も多かった。

 HALS
の活動は大きく分けて三つある。一つが不定期に行われる様々なイベントであり、例えば学者や教授を招いて講演会を催す学術的なものから映画鑑賞やアジア料理を食べるといった娯楽的なイベントまである。もう一つの活動は週一回、定期的に行われるアジア諸国の言語を学ぶイベントである。
 そして、三つ目の活動はSpring Break Delegationであり、これは年に一回春休みの間にアジアの国に行き、その国の社会や文化、法制度・法文化を学ぶことである。だが、ただ学ぶだけでなく、その国で障害者等の弱者を支援する等の社会貢献をしているNPONGOで財政的に苦しい状況にある団体を一つ選び、HALSの学生はハーバードに帰って来てから校内でお菓子を売る等して貯めたお金を集め、その団体に送ることで財政的に支援しているのである。


 これには本当に驚いた。なぜなら、ロースクール生なら自分の勉強でかなり忙しいはずだが、そのような中でも遠く離れた国で支援を必要としている人達のためにわざわざ時間と労力を割いてお金を集めているのである。このような気持ちと意識、そして行動力は一体どこから出てくるのだろうか。このような部分は本当に尊敬するし、私達も見習うべきだと思う。

また、交流会の初めにHALSとは別にロースクールで人権に関して学んでいる方がいらっしゃり、ハーバードロースクールではどのような活動を行っているのかお話をしてくださった。それは、人権侵害が行われている国に実際に行き、そこでどのような人権侵害が行われているのか調査するという。過去には南米諸国に行ったらしいが、このような活動は確かに危ない点もあると思うが、人権に関する議論をただ机上で終わらせるのではなく、実態を目にすることが出来るということは非常に重要で、今後のどのように人権を確保するかを考える上でとても刺激的だと思う。また、実際にこのような活動が出来ることは本当にすごいと思った。


(vol.9に続く)