ビルマを訪れて③2012/01/24 14:14

こんにちは、インターンの津田です。
ビルマ訪問日記、最後の記事です。

ビルマ滞在中、多くの社会福祉活動家・政治活動家の方にインタビューを行いました。

ビルマには、先の記事で述べたような教育系NGOに加え、
その他多くの社会福祉NGOがあります。
彼らの事業は、葬儀サービスであったり、診療サービスであったり、
HIV/AIDS患者療養だったり、環境保護だったり、いろいろです。
これら全て、実は政府が十分に行っていないことなのです。

「社会福祉というのは、本来政府がすべき。
なのに今の政府は十分に行っていないから、自分たちでやっているんだ。」
というのが基本的なモチベーションであるようです。

しかし、ビルマでは、社会福祉活動は政府への反駁とみなされます。
政府からすると、「我々がやっていないことをやるということは、反政府なのだな」となる。
だからこうした社会福祉活動を行っている人々は、常に政府の目を気にしなければ
ならないのです。
皮肉なことですよね。

しかし彼らに迷いは見えませんでした。
「自分は正しいことをしている自信がある」から。

Go your own way
Do what you have to do
Complete what you are doing
Follow your religion
Write your own history

葬儀サービスを行うNGO、FFSSの経営者:チョートゥーさんの言葉です。
NGOスタッフ、人々に対するメッセージであると同時に、政府でのメッセージでもある
といいます。
己の信念に基づいて行動せよ、という言葉は彼に言われると非常に説得力が
ありました。


また、政治活動家の方々も大変な強い信念を持っていました。
何年も何十年も牢獄にいた経験のある彼らの考え方は、
常に私の想定を超えたものでした。

「個人的にはこわいけど、国のためと思えばこわくない。」
「強い意志を持っていれば、こわがることなんてない。」
「政府に対抗することはこわくないのか」と聞いたときの答えです。

社会福祉活動家にしても政治活動家にしても、実際、彼らはこわいのです。
政府に何をされるかわからないし、逮捕されて投獄されることがこわくないはずが
ありません。

しかし、それを乗り越えるだけの思いや使命感を持っています。
これが、彼らの姿勢を見て分かったことでした。

18年間獄中にいても、穏やかな心を失わず、なんでも笑い飛ばしてけろっとしている
姿は、本当に尊敬してしまいました。

自分で自分を奮い立たせ、行動し続けている。
これだけの覚悟を持って日々過ごしているのです。
しかも彼らは、そんな自分の生き方につよい誇りを持っていました。
輝いているってこういうことなんだろうだなぁと思いました。

このように、ビルマを変えよう格闘を続ける人々は
仏教に基づく穏やかな心とともに想像つかないほどの強い覚悟を
持ち合わせているのです。

しかし、現状、政治活動を前線で続けているのは、88年世代の人がほとんどです。
若い世代の育成が急務です。

”I want to live in a normal life.”という言葉は忘れられません。
いつか、彼らが心の底に押しやった恐怖から解放され、常に周りを気にする警戒を解き、
本当に自分のために人生を楽しめるときが来ることを願うばかりです。

まずは、3月に議会補欠選挙が行われる予定です。
スーチーさんをはじめ、その他にも私たちが現地でお会いした中で出馬される方も
います。
正当に選挙が実施され、民意を背負った彼らが政治に関わっていけることを
心から祈ります。


旅の間、本当に多くの方々にお世話になりました。
ビルマ国内から、日本から、強固なネットワークに支えられ、
アウンサンスーチーさんとも少しの時間ではあるがお会いすることができました。

先述の通り、現地の人が外国人を反政府系(政府側から見ればの話だが)のNGOや
そういう意味合いを帯びた場に連れていくのは、かなり危険です。
それでも私たちのサポートをしてくれた彼らに強く感謝するとともに、
恩返しができるよう、これから自分たちができることをしっかりやっていきたい
と思います。