ニュースの深層~マギンダナオ虐殺2011/01/05 22:21

インターンの石川です。

先日、土井さんが水曜キャスターを務めるニュースの深層(http://asahi-newstar.com/web/22_shinsou/?p=3141)の収録に同行しました。(朝日ニュースターHPはこちらhttp://asahi-newstar.com/web/)

今日のテーマは、2009年11月23日フィリピンで起きた事件。
マギンダナオ州での58人の民間人と報道関係者の虐殺。

たった2行でも、深刻かつ衝撃的な事実が訴えてきます。

それを語るゲストは、ヒューマンライツウォッチのフィリピン調査員、Jessica Evans(ジェシカ・エバンス)。

彼女は表題の事件について、身の危険を挺して詳細な調査を粘り強く続けました。
それをまとめたのが、11月に発表された”They own the people”です。(プレスリリースはこちらhttp://www.hrw.org/ja/news/2010/11/16)

レポートの中では事件を生み出す土壌となった背景が考察されています。

彼女の口から語られた衝撃的な事実、そして静かに見る者を捉えて離さぬ写真の数々。
それらからは、犯行の中心であるアンパトゥアン一族の恐るべき所業のみに留まらない、根深い問題点が浮かび上がるのです。
裁判所や警察の機能不全、パラリミタリ―の横暴、政府による人権侵害の容認。

今後の解決方法として、フィリピンの大統領が新任した今、人権擁護の公約をどのように実現していくかを監視していかなければなりません。
さらに、最大のODA拠出国である日本も、未だ続く政治的殺害に対しての提言をすることはすべきことの1つであるはずです。

今後もニュースの深層では様々な問題を取り上げていく予定ですので、ぜひご覧になって下さい。

追記:
生放送の収録は、本番開始の瞬間から逆算して、全ての仕事が動いていきます。
スタッフの方々の妥協なき調整ぶりは、まさにプロフェッショナル。
それは本番開始後も同じです。
始まった瞬間から、今度は1時間止まることのない流れに全てが乗って行きます。
その流れに急き立てられることなく、ゆったりと構えてこなしていくのは、それまでの綿密な準備があるからなのだと今日実感しました。
スタッフの皆様ありがとうございました。


今後も最前線での活動をお伝えしていきますので、ブログの更新をお楽しみに!

クラスター爆弾廃絶に向けた日本の役割~WEBRONZA(ウェブロンザ)2011/01/07 14:17

少し時間がたってしまいましたが、先月17日、『クラスター爆弾廃絶に向けた日本の役割 』
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010121600004.html?iref=webronza

と題して、朝日新聞の解説・言論サイト、WEBRONZA(ウェブロンザ)http://webronza.asahi.com/に、私が執筆した記事を掲載していただきました!

WEBRONZAは「政治・国際」「経済・雇用」「社会・メディア」「科学・環境」の4分野から、ニュースにそった重要テーマを切り出して掲載している言論空間。

記事の中では、クラスター爆弾の非人道性と、廃止に向けた条約成立の過程、今後果たすべき日本の役割について訴えています。


皆様、ぜひご一読下さい。

AVON女性年度賞2011/01/10 18:48


昨年もいろいろ心に残ることがありましたが、そのひとつが、2010年度のAVON女性年度賞を受賞させていただいたこと。


AVON女性年度賞は、1979年から
『現代に生きる女性に夢と希望を与え、
 社会のために功績をあげる女性』に対しておくられてきた賞。大変名誉なことです。。。


エイボン女性大賞/本間郁子さん


全国の特養ホームの入居者と家族への丹念な聞き取り調査と、施設への訪問調査を実施し、社会の暗 部として隠されがちな入居者の悲嘆、家族の怒り、施設職員の苦悩を浮き彫りにした。一方で、行政への 提言も粘り強く続け、要望書の約6割を実現、特養ホームの完全個室化の制度化、「高齢者虐待防止法」 を 2006 年に法律として実現させた。年を取っても病を得ても人間の尊厳は変わらず、人は美しく老いるべ き、その信念のもと、誰もが通る老いの道とその実情に光を当て、改善するために邁進している。



エイボン女性賞/大塚聡子さん


「星出彰彦さんがロボットアームを操り任務完了」「若田光一さんが『きぼう』のロボットアームを操作」-。 国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で実験や保全作業支援に活躍する宇宙ロボット“ロボットア ーム”。その“ロボットアームの母”と呼ばれるのが設計開発を担当してきた大塚聡子さん。危険な宇宙で 人間を支援するのに不可欠なロボットアームを開発し、日本さらに世界の宇宙戦略に貢献を果たした。現 在も世界の宇宙ロボット標準を作ることを目標に研究開発に邁進し続けている。


エイボン女性賞は私、土井香苗



私以外のお二人の受賞者一人ひとりのスピーチはどれもが、胸に突き刺さるものでした。授賞式後にはレセプションが行われ、歴代の受賞者の方や、文化人の方々が出席しておられ、どきどきしました。

インターンの石川です(自己紹介)2011/01/12 20:22

インターンの石川夏子と申します。

自己紹介をせぬまま、気づけば二月が過ぎてしまいました。
しかしブログに書かせて頂く内容を考えれば、時間を経たことは賢明だったかもしれません。
ヒューマンライツウォッチ(HRW)で仕事をさせて頂く前と後では、「だいぶ」違う自分がいるからです。

まずHRWのHPを見る視点も変わりました。
HPをご覧頂ければ、毎日絶えることなく人権侵害の現実をお伝えしていることが、おわかりになると思います。
その目を覆いたくなるような、耳をふさぎたくなるようなニュースを、なぜ何度も見聞きする必要があるのか。

私は今までであれば、それに答えを出すことができませんでした。

しかし今はその理由の一つを持っています。
それは、物事の問題の本質がどこにあるのか、それを見抜くためだと思っています。

問題の本質を見抜いてこそ、それに対する解決策を提示することができます。
では、本質を見抜く眼、とはどのような作業をするのでしょうか。

事件の何が特異な問題で、何が他と共通する構造的な問題なのか、を識別する眼。
それは複雑に絡まった利害関係や因果を知った上で、多方面から見る眼。

それを養うためには、数多くの事例を知る必要があるのです。

報道に留まらず、問題の本質を見抜き、解決に向けて各方面に働きかける。
ジャーナリストであり、ポリシーメーカーでもある、その役割は一心同体である。
それがヒューマンライツウォッチが掲げる「人権侵害のコストを上げる」という理念に対し、私が納得し共感している所以です。


冒頭に「だいぶ」と書きましたのは、自分の根本にあるものは変わっていないからです。
世界で起きている人権侵害に対して、怒り恐れる感情、敏感で居続ける姿勢、どうしても諦めきれない気持ちです。

私はまだ専門家としてできることはありません。
しかし、インターンとして働くこの期間、「眼」を養うことはできます。
毎日インターンとして働けば働くほど、将来いつか専門性を持って、人権侵害の解決に貢献したいという思いが増しています。

その思いは、東京オフィスのポジティブで熱意あるお2人の側でこそ、醸成されたものであることはもちろん、省庁やNGO、報道関係者の皆様など、社会の第一線で働く方々に、お会いし影響を受けたことは間違いありません。

最後に、ヒューマンライツウォッチにご支援頂いている皆様を初め、私がインターンをさせて頂く期間にお世話になるであろう、全ての方々に感謝を申し上げ、自己紹介を終えさせて頂きます。

フィル来日日記2011/01/13 13:24

こんにちは。インターンの小田です。

11月22日(月)から26日(金)まで、ヒューマン・ライツ・ウォッチ アジア局局長代理のフィル・ロバートソンが来日しました。私たち、インターンもフィルに同行したので、遅ればせながら、その模様をお伝えしたいと思います!

まず、フィルとは、、、、
こんな、人物です!

第一日目は、日本労働組合総連合会の塩田さん、ビルマ日本事務所のマウン・ミンニョウさんとのミーティングから始まりました。
真剣に、そして和やかな雰囲気でミーティングは進みました。

その後、お昼もご一緒し、午後のミーティングへ向かいました。
午後のミーティング後は、オフィスへ。
「こんなオフィスで働きたい!」と言ってくれました♪

その後の様子もできればアップいたします!

ニュースの深層:反日デモ 中国の若者たちの現状2011/01/15 22:10

みなさん、こんにちは。インターンの小田です。

11月17日放送のニュースの深層(キャスターはHRWの土井香苗)は、時事通信社外信部記者の城山英巳さんがゲストでした。テーマは、「反日デモ」。

城山さんは、「中国共産党『天皇工作』秘録」(文春新書)という著作で、アジア太平洋地域に関する優れた出版物の著者に贈られる「第22回アジア・太平洋賞」を受賞されたばかり!

さて、番組の核心へ。

中国での反日デモに多くの若者が参加した背景とは一体何だったのでしょうか?

中国では、デモはどんな内容でも許されるわけではありません。ほとんどすべてが禁止されている状態、、、。その様な中で、「反日デモ」は第2次世界大戦中の出来事に基づくものとして、唯一と言ってもよい、政府から許されるデモ、と城山さんはご説明くださいました。

城山さんは、中国の若者は大学入学率は上がっているのに、就職先がないなど世間に対する不満が募っているといいます。その、不満の矛先を反日デモに向けている。そして、デモの起きた場所を地図で見ると、内陸部の地方都市で起きていることが分かります。中国政府としては、首都である北京や万博中の上海、アジア大会を控えた広州でデモをすることについては許可を出さず、なんとか政治的問題に発展しにくい内陸部に抑え込もうとしたため、この様な分布になっていると仰いました。

その他にもいろいろ大変興味深い分析や現実をうかがいました!

みなさまも、ぜひ、毎週水曜日午後8時から、朝日ニュースターのニュースの深層をぜひご覧くださいませ!

ワシントンDC2011/01/17 22:58

HRWの会議で、米国に出張している土井香苗です。
今は、ワシントンDCにおります。

週末の午前中にふらりと外出したところ、ホワイトハウス近くだったからか、グアンタナモ収容所などに反対しているデモンストレーションに遭遇。

こじんまりしていましたが、やっぱり、ワシントン市民もしっかりポリティカリーアクティブだなと思ってうれしい午前中でした。

ロンドンのアニュアル・チャリティディナー報告その1-HRWロンドンオフィスリポート①2011/01/18 17:19

  HRWは毎年、世界各地で、アニュアル・チャリティー・ディナーを開催し、勇気ある人権活動家の方にスピーカーとして来ていただいています。2回目となった昨年の東京ディナーにもたくさんのドナーの方々がいらっしゃってくださいました。東京で春に開催されるこのアニュアル・ディナー、ロンドンを含めたヨーロッパの各主要都市では、毎年一足早く前年の冬に開催されます。



 今回のチャリティー・ディナーは、ロンドンの金融街の中にありながら、現在も中世的ゴシック建築様式を保つギルド・ホールで開かれました。外観からして赴きある雰囲気を放つ歴史的建物です。



 まずは受付から。ディベロップメント局のベンが真剣に準備をしています。


 受付でのチェックインを済ませ廊下を進んでいくと、ディナー会場への入り口があります。


 そして、中へ。ここがディナーのメイン会場です!教会風の内部、石造りの壁に照明が反射して、特別な雰囲気でゲストをお迎えしています。


ボランティアのためのテーブルも、会場の一番後ろに用意されています。写真はそのテーブルからの眺め。ディナーの様子の続きは、次の回でお伝えすることにしましょう。

ロンドンでのディナー その内容は・・・?-- HRWロンドンオフィスリポート②2011/01/20 21:56

 昨年11月にロンドンで行われたアニュアル・チャリティディナー。

そのクライマックスは、人権活動家のスピーチです。今回は2010年にHRWが表彰した6人の活動家の中で、エチオピア出身のヨセフ・ムルゲタさんと、イラン出身のスーザン・タマセビさんをお招きいたしました。


  ヨセフさんはエチオピアを代表する人権監視団体「エチオピア人権評議会」の元事務局長。同国政府が表向きに進める「民主化」の影で、現実に起こっている人権蹂躙を鋭く指摘してきました。同国の人権状況を逐一記録・公表し、市民社会構築に貢献してきたエチオピア人権評議会でしたが、政府の圧力によって団体活動の制限を余儀なくされ、ムルゲタ自身もアメリカに政治的庇護を求めることとなりました。HRWでは彼のように危険を冒しながらも人権問題に立ち向かってきた活動家に敬意を表することで、活動に光を当て、応援すると共に、人権侵害者に対しては「国際社会は人権法違反を見逃さない」というメッセージを送ってきました。


  ヨセフさんのビデオとスピーチの後、HRWが表彰した人権活動家のうちのもう一人スーザン・タマセビさんが紹介されました。タマセビさんは、イランの市民社会の強化、女性の人権保護、平和教育などの活動を20年以上行ってきた実績があります。しかしながら、彼女はイランの治安部隊からの嫌がらせを受け、2年以上にわたり海外渡航を禁じられてしまいました。アメリカ市民として米国パスポートも持っていらっしゃため、この間も海外への移動が可能となりましたが、イランでの人権活動は以前厳しいものがあります。


 お二方のスピーチの前後は、しばし歓談のとき。とても美味しい料理です。


 ディナーの最後は、更なるご支援をお願いする女優Juliet Stevensonのメッセージビデオの上映とボランティアからの呼びかけです。HRW関係者を含めた約300名のゲストをお迎えした宴はこうして大成功のもとお開きとなりました。

次回はこのアニューアル・ディナーの企画・運営に深く携わった、ディベロップメント局のアソシエイトKim Thomondのインタビューをお伝えします。お楽しみに!

ニューヨーク2011/01/21 23:21

土井香苗@NYです。

ヒューマンライツウォッチは本部がニューヨークにあります。
高層ビルとして有名なエンパイアステートビルの34階と35階です。

1月には毎年、全世界のスタッフがNYに集まり、全体のレトリートを行って、今年1年の計画を練ります。

HRWのようなアドボカシー団体にとって、全世界のどのオフィスも同じメッセージを出すということはとても重要。そういう意味でも、一年に一度、全スタッフが顔をそろえて議論をするのはとても重要です。

今年のNYは雪も降って寒い!
でもがんばらなくては。