タイ――外国人出稼ぎ労働者たちの日常(その1)2010/03/16 18:05

タイといってまず思い浮かぶのは、「穏やかな仏教国、微笑みの国、東南アジアのパラダイス」といったところでしょうか。近頃では政情不安のニュースなどもありましたが、旅行先としても相変わらず人気の高い、魅力的な国です。

タイは、東南アジアでもマレーシアやインドネシアと並んで経済が発達しています。そのため、後発のビルマ、カンボジア、ラオスなどから、出稼ぎにやってくる人びとがたくさんいます。彼らの日々の暮らしは、タイ当局の不当に厳しい取締りなどによって、大変苦しいものです。

その実態は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが2月23日に発表した「出稼ぎの外国人労働者が、殺人、恐喝、労働権侵害に直面」(http://www.hrw.org/ja/news/2010/02/23-3)に詳しいのですが、これから写真と共に、そのことについて、お伝えしていきたいと思います。

Thai1
タイ国内の出稼ぎは、80%がビルマからのものです。写真は、ラノーンの漁船停泊所で働くビルマ人。ロンドンにある出稼ぎ労働者連盟によると、タイでは25万人ものビルマ人が、漁業関連産業に従事していますが、“合法”で働いているのはその内わずか7万人だそうです。

Thai2
同じくラノーンの停泊所で働くビルマ人の様子。写真のような重労働は、何日も立て続けで、長時間に及びます。そうやって彼らが得る賃金は、ごく最低限のものに過ぎません。

Thai3
これは、3カ月間の遠方漁業から戻り、雇用主に取り上げられていたパスポートや個人書類を返してもらっている、ビルマ人出稼ぎ労働者たち。

Thai4
ラノーンの停泊所で漁船を修理する人たち。いわゆる「3K」仕事の多くは、出稼ぎ労働者が担当します。特に政情が不安定なビルマの人びとは国に戻ることを恐れ、どんなに劣悪で危険な労働条件であろうとも、タイに働き口を求めます。これを逆手に取って、彼らを不当にこき使う雇用主が後を絶ちません。
                                     All Photos (c) John Hulme

タイのことわざに、「トラから逃れたと思ったら、お次はワニ」というのがあります。次々とやってくる困難な状況を指していますが、出稼ぎ外国人労働者は、これの生きた証となってしまっているのです。

次回もそんなタイの外国人労働者をとりまく状況を、引き続き写真でご紹介していきたいと思います。

関連のヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書「トラから逃れてもワニが待っている:タイにおける外国人労働者の搾取と虐待の実態」(124ページ、英語)はこちらから!
http://www.hrw.org/node/88619

コメント

_ ウミシダ ― 2010/03/16 21:34

外国人労働者に対する虐待は許されるべきではありません。
最大の要因は異民族に対する蔑視の感情だと思いますが
それを炸裂させるのは行政の怠慢でしょうね。

トラックバック