スリランカ:大統領再選 今こそ、アカウンタビリティを2010/02/19 16:49

失踪してしまった家族の写真を手にする家族。スリランカにて @2007 プライベート
スリランカでは、大統領選が行われ、1月27日、ラジャパクサ大統領が再選されました。ラジャパクサ氏が初めて大統領に選ばれたのは2005年。それ以降、スリランカの人権状況は急速に悪化しています。

写真は、失踪してしまった家族の写真を手にする家族(2007年、スリランカにて)

「強制失踪・拉致」(http://www.hrw.org/ja/news/2008/03/05)は、スリランカでは、長年続いている問題です。しかし、ラジャパクサ氏が大統領になった2005年から、この問題は急激に深刻化。その他にも、ラジャパクサ大統領の第一期目の人権問題には、国家治安部隊や分離主義武装勢力タミル・イーラム・解放のトラ(LTTE)の分離主義者が、多数の政治的な暗殺事件を引き起こしたことなども挙げられます。政権に批判的な報道に対する攻撃も急増し、ジャーナリストの暗殺や脅迫事件が続いています。

スリランカ政府と武装ゲリラLTTEの間で26年間続いた内戦は、2009年5月、LTTEが武力鎮圧されて、終結。しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は、この内戦の最終盤の数ヶ月の間に、内戦の両当事者が民間人に対する多くの残虐行為(http://www.hrw.org/en/reports/2009/02/19/war-displaced?tr=y&auid=5868317)に手を染めたことを明らかにしました。内戦の結果、2009年だけでも7千人を超える民間人が命を落とした上、生き残った30万人近い戦争被災者たちが、強制収容キャンプに無理やり収容されてしまいました。

ラジャパクサ大統領は、戦争犯罪に関するアカウンタビリティ(真相究明と責任追及)を拒み続けています。少数派タミル人の被害者たちの声はかき消されてしまっています。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連や日本などスリランカと関係の深い諸政府に対し、スリランカ内戦での戦争犯罪疑惑について、国際的な独立調査の実施を支持するよう求めています。

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