地雷とともに生きる人々Ⅱ―アフガニスタン―2009/12/22 15:35



イラク戦争が始まったあとは、あまり注目されなくなっていたアフガニスタン。オバマ政権になり、アフガニスタンへの増派に関する話題が出るなど、また、報道されるようになりました。

 シリーズ・地雷とともに生きる人々 2回目の今回は、そのアフガニスタンでの地雷使用の話です。写真は、引き続き、スペインの写真家ゲルバシオ・サンチェスの撮影です。



「アフガニスタンのための地雷行動センター」の統計によると、1999年から2008年の10年間で、1万2千人以上のアフガニスタンの人びとが、地雷や爆弾の残骸の爆発などの犠牲になりました。しかも、この1万2千人という被害者の数は、実際よりもかなり少なめとみられています。犠牲者のほとんどは、弱い立場におかれた民間人たちです。



近年、アフガニスタンでの暴力は、ますます深刻になっており、非常に憂慮される事態となっています。

しかし、明るいニュースもあります。アフガン軍も、米英軍も、対人地雷を使用したという報告は、されていません。というのも、アフガニスタンは、2002年に対人地雷全面禁止条約に入り、それ以来、備蓄していた48万6千以上の地雷を処分したのです。

それから、アメリカ政府は、残念ながら、対人地雷禁止条約に入っていない(米国に加盟を求めるヒューマン・ライツ・ウォッチの声明はこちら)のですが、
それでも、対人地雷をつかっていません。これは、1997年の対人地雷禁止条約の成立の結果、対人地雷に非人道的武器という烙印をおされ、条約に入ろうとしないアメリカであったとしても、使用できない状況が作り出されたためといえます。



1998年から2008年の10年間で1万2000人以上という犠牲者の数について、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL、ヒューマン・ライツ・ウォッチは創設メンバー)は、世界各国の中で、最大の犠牲者数とみています。

対人地雷は、女性と兵士の足、子供と兵士の足の区別などできません。

無差別に、足をおいてしまった者に対して危害を加えます。

HRWは、前述の地雷禁止国際キャンペーンの創立メンバーとして、1997年にノーベル平和賞を受賞しており、今後も、このような非人道的な兵器の撤廃を目指して活動して参ります。

このシリーズ第一回地雷とともに生きる人々Ⅰ―南米・コロンビアの少女モニカ― も、こちらからご覧ください。